保岡法相:「終身刑は日本文化になじまぬ」
保岡興治法相は2日の初閣議後の記者会見で終身刑の創設について、「希望のない残酷な刑は日本の文化になじまない」と否定的な考えを示した。
法相は「真っ暗なトンネルをただ歩いていけというような刑はあり得ない。世界的に一般的でない」と述べた上で、「日本は恥の文化を基礎として、潔く死をもって償うことを多くの国民が支持している」と死刑制度維持の理由を述べた。
終身刑を巡っては、超党派の国会議員でつくる「量刑制度を考える超党派の会」が5月、死刑と無期懲役刑のギャップを埋める刑として導入を目指すことを確認している。
保岡法相は00年7~12月の第2次森内閣でも法相を務め、在任中の死刑執行は3人だった。(毎日新聞8月2日)
仮釈放がない終身刑は「希望のない残酷な刑」だと私も思う。
だから、まるっきり刑務所から出られなくするのではなく、仮釈放が認められる年数を現行の10年に加えて、たとえば25年とか30年というふうにしたらいいと思う。
では、死刑は「希望のない残酷な刑」なのかどうか。
保岡法相としては、死刑は希望があるし、残酷でもないから、日本の文化になじむということだと思う。
でも、死刑囚にどういう希望があるのだろうか。
死刑が残酷かどうかは人それぞれの考えだが、元無期懲役囚死刑囚世話係の合田士郎『そして、死刑は執行された』にこういうことが書かれてある。
「ある暴行殺人犯のときなど、処刑のロープが顎にずれなかなか絞首されなかったと見えて、首筋から顎にかけて火傷のようにただれ、顔は常人の倍とも思えるほどにむくみ、どす黒くぶよつき、体には所々黒い斑点が浮かんでいた」
「雅樹ちゃん誘拐事件の本山茂久は処刑のとき、完全に気が狂って舎房の鉄格子にしがみつき、特警にかみつき、暴れ、吠えまくり、ロープに吊されても、あがき、もだえ、ついに主ロープが切れ、補助ロープでかろうじて処刑された。顔は醜くふくらみ、目はバセドー氏病のごとく飛び出し、白目が今にもこぼれんばかりに噴き出て、首筋から顎にかけてはざくろのようにただれ、舌がこんなにも長いものかと思うほど、口から血にまみれて長く長く垂れ下がっていた」
「三つのスイッチが押されると同時に、処刑台の床がバタンと二つに割れ、死刑囚はガクンと首を吊られる。「うーっ、うーっ」と、地の底から絞り出すようなうめき声が響き、ギーギーと滑車がきしむ。
うーっうーっ、ギーギー
この声、この音が、いつまでたっても耳朶にこびり付き、悪夢にうなされ「やめてくれー、やめてくれー」と、こっちまで気が狂いそうになる」
こういう残酷な刑罰は「日本の文化になじまない」と思う。
次に、「真っ暗なトンネルをただ歩いていけというような刑はあり得ない。世界的に一般的でない」ということ。
ウィキペディアの「無期刑」の項を見ると、
「EU諸国は死刑制度を廃止しているが、仮釈放なしの終身刑制度(絶対的終身刑)が残っているのはイギリスなど少数である」
「ヨーロッパにおいては、最高刑を有期刑とする国もあり」
ということだから、保岡法相の言うとおりである。
死刑廃止も「世界的に一般的」なのだが、そこはどうなのだろうか。
そして、「日本は恥の文化を基礎として、潔く死をもって償うことを多くの国民が支持している」ということ。
「恥の文化」とはどういう意味なのか、ネットで調べてみるといろんな定義がなされている。
世間の目を気にし、世間に対して恥ずかしいことはしてはいけないということが倫理の基準になっている文化、ということじゃないかと思うが、保岡法相はどういう意味で言ったのだろうか。
それはともかく、「潔く死をもって償う」ことを肯定しているのだったら、死刑囚が自殺することを黙認してもいいのにと思う。
ベルトの着用を許可するとか。
そのほうが刑務官や死刑囚の世話係も助かるのではないかと思う。
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15年程度で無期刑の仮釈放が認められる人がたくさんいたのは20年以上前の話で、
最近は25~30年で人数も2007年は1人でしたし、この状態が続けばほとんどの人が一生を刑務所で過ごすことになります。
http://www.geocities.jp/y_20_06/parole2.html
”仮釈放が認められる年数を現行の10年に加えて、たとえば25年とか30年というふうにしたらいいと思う”
と書いておれれるけど、現状でもそうなっていますし、30年でも仮釈放が認められるのは稀です。
いまの日本は事実上の終身刑をやりながら、死刑もやっていますし、
保岡法相の言葉を借りれば、現状でも”残忍な刑の国”です。
実状はおっしゃるとおりです。
ですが、刑法では仮釈放を認める年数が10年、少年法だと7年ですね。
だから、死刑と無期懲役とではあまりにも天と地の差があるなんて言われているわけです。
光市の事件でも、無期だったら二人殺したのにたったの7年で出られると言ってるコメンテーターやブログがやたらとありました。
そういう誤解を防ぐためにも、仮釈を認める年数を10年に加えて、たとえば25年というふうにしたらいいのではないかと思うわけです。
それよりもまず、殺人事件が減っているにもかかわらず無期懲役や死刑が増えている、日本は治安が悪化しているわけではない、という基本的事実を多くの人に知ってもらいたいと思います。
ついでに書きますと、松本サリン事件の河野義行さんの奥さんが亡くなられました。
たとえば↓のブログですが、加害者は死刑になるのが当たり前、死刑廃止論者は何を考えているのか、という批判を見かけます。
http://bananame1005.iza.ne.jp/blog/entry/669949
ですけど、河野義行さんは「死刑というものに、わたしはずっと反対の立場を取ってきました」と言われているんですね。
http://homepage2.nifty.com/shihai/message/message_kouno.html
被害者は極刑を求めていると信じ切っている死刑賛成の人は事実を調べる努力をしていないように思います。
そういうのが遺族を傷付けるのが分からないのか!
本当、どういう感覚をしてるんだ?
あれはプロ市民。一般的な犯罪被害者とは一線を画すべき。
どちらかと言えば警察検察憎しで主張している活動家です。
おまえに言われたくはないわ!
遺族が死刑を求めるのはおかしいとは言ってません。
死刑判決が増えているのはおかしいと思いますし、被害者のすべてが極刑を求めているわけではないと言っているつもりです。
>河野義行さん…あれはプロ市民。一般的な犯罪被害者とは一線を画すべき。
どちらかと言えば警察検察憎しで主張している活動家です。
河野さんは警察でも講演されていますよ。
>本当に遺族の苦しみを軽く見てるな。
「河野義行さん…あれはプロ市民」と切り捨てる人がそうですね。
少なくとも他の犯罪被害者遺族と一緒にしないでほしい。彼は特殊な部類です!!!!!
確か、彼と同じ様に警察、マスコミからも犯人扱いされた山下清さん(裸の大将ではない。念の為に…)は河野義行さんのような警察検察憎しのプロ市民活動家ではありませんが。まあ、マスコミに対しては怒っていましたがね。
>そういうのが遺族を傷付けるのが分からないのか!
自分を遺族に置き換えて遺族感情が分かっているつもりだが、何も解っちゃいない。
>被害者と被害者遺族の区別ができていない。
(プッ)君じゃあるまいし、いくらなんでも、そんなこと、有り得ない。
Unknown (Unknown)の、ぶつくさ(ゴミ)、止めよ。よっぽど閑で困ってんですか。相手になってくれる人がいなくて、淋しいんですかwww