死刑を肯定する理由の一つとして、自らの命でもって償うべきだという意見がある。
しかし、死んだらそれで償いは終わりというのは変な話である。
被害者は加害者が死んだ後も生きていくのだから。
道義的責任のはたし方として、大沼保昭は『「慰安婦」問題とは何だったのか』で五点をあげている。
1,ことば
被害者の心にどれだけ奥深く染み入るような、誠実さを示すことばで謝罪がなされているのか。
2,所作、謝罪のかたち
真摯な償いの姿勢
3,物質的・金銭的補償
4,償いの姿勢が加害国でどれだけ共有されているか
5,謝罪した者が、どれだけ類似の加害行為の再発防止に真摯な努力を払うか
1から3までは被害者と加害者との間に何らかの関係が作られていないと成立しない。
で、菊池寛『恩讐の彼方に』のことを考えた。
というのが、娘に道徳の教科書「みんなのどうとく」をもらったのだが、その中にはマザーテレサや認知症、洪水から村を守った人といった、ちょっといい話、考えさせられる話がたくさん載っていて、『恩讐の彼方に』と有島武郎『一房の葡萄』をまとめたものも入っていた。
どちらの小説も罪と赦しがテーマである。
『恩讐の彼方に』は、主人を殺した市九郎(了海)が滅罪のために全国を行脚し、交通の難所である岩場に洞門を掘る、一方、父を殺された実之助は親の仇である了海を探し出すが、結局は了海を許すという物語。
「みんなのどうとく」には、
「1 洞くつの中で、しっかりと手をにぎりあった了海と実之助は、どんなことを考えていたでしょう」
という問題提起がされている。
二人はなぜ手をにぎりあったのか。
了海が21年間、村人のために岩を掘り続けたということもあるが、それだけではなく、実之助が了海と一緒に1年6ヵ月働いたことが大きいのではないかと思う。
私が被害者だったら、加害者に自分以上の苦しみを与えたいと思う。
しかし、加害者との関わりが全くなければ、仮に加害者が苦しみ悩んでいたとしても、それを私は知らないままでいることになる。
まずは加害者と被害者との関係が作られるということが、償いへの第一歩になるのではなかろうか。
死刑はその関係を断ち切ってしまうことになるわけで、その点でも死刑には賛成しがたい。
安田好弘弁護士は講演でこういうことを話している。
「加害者と被害者は従来全く回路がないままおかれてきました。その回路を切り結ぶことを被害者と加害者にだけにまかせて放置していること自体が大きな問題だと思います。この回路を作るのは誰か。それは宗教者だろうと思うんです」
うーん、難しいなと思うが、しかしシスター・プレジャンは実際に「回路を作る」仕事をやっているわけですからねえ。
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あの嘘吐きババア共、ってまだいたんだな。
っていうか、インタビューの度に生年月日や自分のいたところが違う人間って信用できると思う?
何、本の紹介をして逃げてるんだよ!
意見を聞くのなら、それなりの書き方があるでしょ。
「あの嘘吐きババア共」と普通書きますかね。
そこまで書くのなら、基本的な本ぐらいは読んでいてほしいですね。
強制連行については↓の意見を参考に。
http://www.geocities.jp/ianfu99/index.html
http://www.geocities.jp/ianfu99/ronsou.html
こんなブログもありました。
http://d.hatena.ne.jp/yamaki622/
くたばれ!!嘘吐きババアって感じだね。じゃなきゃウンコに群がる蝿だね。
だって、奴らはインタビューの度に自分の住んでいた場所、生年月日が違ったりとナメてるとしか思えない。いくら何でも生年月日は間違えないだろう。
奴らはもういろんな人に論破されてるからね~。あと、吉見義明ってテレビで見たけど、小林よしのりに論破されて無様な姿さらけだしてたね。
あと、従軍慰安婦問題は松井やよりとかが嘘ついて国際問題にしたということをお忘れなく。始めのころは韓国人自身も信じていなかったぐらいだからね。
あんなウンコババアのたわごとをまともに信じてるようでは貴方もまだまだだね。だめですよ!!あんなの本気にしたら。
貴方は宗教家ではない。宗教の仮面を被った左翼だ。
犯罪者の人権も被害者の人権も、そして元慰安婦であろうと、すべての人の人権は等しく大切です。