中国で反日デモが起きているが、日本は嫌われているのだろうか。
外国人が日本をどう思っているか気になるのが日本人の特徴だとどこかで読んだが、私も気になる。
ところが、福江誠『日本人が知らない世界のすし』を読むと、多くの国では日本への関心が高く、日本人に対する評判もいいようなのである。
福江誠氏は寿司の調理技術や知識を教える東京すしアカデミー代表兼校長である。
海外から寿司を学びに来る生徒が年々増え、また海外で寿司を普及する人も増えている。「ここ数年、日本食のみならず、茶道や生け花、陶芸をはじめとした日本文化への関心や敬意が世界中で高まっている。海外の人たちは日本を知りたがっているのだ。しかしながら、そのことにもっとも気づいていないのは日本の中にいる多くの日本人なのである」
禅やアニメだけでなく、寿司も世界で注目されているとは知らなかった。
「中国国内では日本式メニューやサービスを提供する店には、看板に「日式」と書かれている.日式は値段もサービスもワンランク高いレストランとして広く知られている。つまり、他の食べ物に比べて高い値段を払ったとしても食べたいと評価されており、あこがれの対象でもあるのだ」
中国の反日デモだが、どうもノーベル平和賞の問題から目をそらさせるためのヤラセらしい。
中国:反日デモ 「愛国青年たちは当局の操り人形」 ネット、冷ややかな見方も
中国各地で16~17日に発生した大規模反日デモでは、デモ隊が日の丸を燃やしたり、「日本をつぶせ」など過激な横断幕が掲げられたが、インターネットなどでは「本当に自発的なデモか? 愛国青年たちは当局の操り人形だ」などと冷ややかな意見も出ている。
中国ではデモや集会は当局への事前申請による許可制。人権や民主化要求など当局が警戒する内政問題でデモを行うのは事実上不可能だ。一方で、外国との対立時だけ愛国デモが出現するという構図に一部の市民は嫌気を感じているようだ。
ネットや簡易型ブログ「ツイッター」ではデモを支持する声も強い。だが、「中国でほぼ同時に各地でデモが自発的に起こせるはずはない。当局に組織されたとしか考えられない。作られた民意だ」と突き放した見方もある。また「住宅価格高騰、土地・建物の強制収用への反対デモは許されない。唯一許されるのは、トヨタの車に乗ってソニーの携帯を持ち、キヤノンのカメラを肩から下げながら反日デモに行くことだ」と皮肉たっぷりの声も。さらにノーベル平和賞授与が決まった服役中の民主活動家、劉暁波氏(54)の名を挙げ「若者たちは反日は訴えるのに、なぜ劉暁波氏の釈放は訴えないのか」との不満も聞こえる。(毎日新聞10月18日)
韓国はどうかというと、
「韓国の料理人志望者は日本食への関心が非常に強い。寿司を学んで帰国するとステータスになるし、本場で学んだことが日本食レストランに就職するためにも有利になる」
そういえば李長鎬『寡婦の舞』(1983年)は、見合いでは日本語を話せることが好条件になるという結婚詐欺の話だった。
次はロシアで、ヤマサ醤油の社員がこう語っている。
「日本食はロシアの若者たちの間で、『格好いい』と受けとめられています。日本食を知らないと、流行に遅れていると思われるのです。価格は一般の食事に比べて三倍ほどなのですが、男性にとっては女性を誘って食事をするときの切り札になっています」
ポーランドで寿司店を経営する日本人。
「日本人は文化的に進んでいて、いい人たちだというイメージがあります。ラジオでも毎日のように、『日本で今流行しているのは……』といった話が取り上げられています」
寿司店を経営するスペイン人。
「バルセロナの人々に比べて、日本人の礼儀正しさと謙虚な姿勢を非常にうらやましく思ったものです」
話半分にしても、うれしくなってくる。
福江誠氏はこう言う。
「アジアの国々は日本にあこがれを持っていることに日本人は気づくべきだ」
「アメリカやヨーロッパ、親日的な北欧、東欧でも日本への関心はますます高まっている。こうした状況を一番知らないのは当の日本人自身ではないだろうか」
アメリカ在住の作家。
「日本が自信喪失しているのと同じように、世界における日本のイメージが低下しているのかというと、そうでもないのです。先日、知日派のアメリカ人たちと話をしていたときに皆が言っていたのですが、サムソンやLGの躍進はすごいけれども、アメリカでは誰も韓国のカルチャーなんて知らないし興味もない、翻って日本の場合は、寿司からアニメ、サムライ、ハイテクに至る日本文化はみんな知っている。でもソニーやパナソニックはその好イメージを生かすことなく、ウォルマートでの叩き売りに走っている」
なるほど、日本人はもっと自信を持ってもいい。
「外国人がクール、つまり格好いいと見ている日本の文化を、日本人が評価・理解できていないために、新興国にものづくりで追いつき追い越されている現状に必要以上に自信をなくし、元気をなくしていることを日本の悲劇だという」
中国や韓国は日本を嫌っているとか、日本は世界でバカにされている、と言う人がいるが、これは自虐的日本観ではないかと、『日本人が知らない世界のすし』を読んで思った次第です。
イタリア:すしと宝石 フィレンツェでエレガントさ競演
イタリア中部、フィレンツェの駅前通りのショーウインドーを飾るすしとジュエリー=藤原章生撮影 イタリア中部、フィレンツェ駅前の目抜き通り。金銀、宝石類を売るブランドショップのショーウインドーに、女性2人が熱心に見入っている。
中を見ると、家紋を配したミニサイズのびょうぶと日本のひな人形、左隅には握りずしと巻きずしの模型が。すしの脇に、おちょことはしがあしらわれ、それに絡みつくように、店の売り物の指輪、腕輪、イヤリングがちりばめられていた。
すしはイタリア人にとって今、最もエレガントな食べ物。その人気に乗じ、我が商品もつまんでもらえればという、なかなかワサビの利いたアイデアだ。(毎日新聞10月28日)
外国人が日本をどう思っているか気になるのが日本人の特徴だとどこかで読んだが、私も気になる。
ところが、福江誠『日本人が知らない世界のすし』を読むと、多くの国では日本への関心が高く、日本人に対する評判もいいようなのである。
福江誠氏は寿司の調理技術や知識を教える東京すしアカデミー代表兼校長である。
海外から寿司を学びに来る生徒が年々増え、また海外で寿司を普及する人も増えている。「ここ数年、日本食のみならず、茶道や生け花、陶芸をはじめとした日本文化への関心や敬意が世界中で高まっている。海外の人たちは日本を知りたがっているのだ。しかしながら、そのことにもっとも気づいていないのは日本の中にいる多くの日本人なのである」
禅やアニメだけでなく、寿司も世界で注目されているとは知らなかった。
「中国国内では日本式メニューやサービスを提供する店には、看板に「日式」と書かれている.日式は値段もサービスもワンランク高いレストランとして広く知られている。つまり、他の食べ物に比べて高い値段を払ったとしても食べたいと評価されており、あこがれの対象でもあるのだ」
中国の反日デモだが、どうもノーベル平和賞の問題から目をそらさせるためのヤラセらしい。
中国:反日デモ 「愛国青年たちは当局の操り人形」 ネット、冷ややかな見方も
中国各地で16~17日に発生した大規模反日デモでは、デモ隊が日の丸を燃やしたり、「日本をつぶせ」など過激な横断幕が掲げられたが、インターネットなどでは「本当に自発的なデモか? 愛国青年たちは当局の操り人形だ」などと冷ややかな意見も出ている。
中国ではデモや集会は当局への事前申請による許可制。人権や民主化要求など当局が警戒する内政問題でデモを行うのは事実上不可能だ。一方で、外国との対立時だけ愛国デモが出現するという構図に一部の市民は嫌気を感じているようだ。
ネットや簡易型ブログ「ツイッター」ではデモを支持する声も強い。だが、「中国でほぼ同時に各地でデモが自発的に起こせるはずはない。当局に組織されたとしか考えられない。作られた民意だ」と突き放した見方もある。また「住宅価格高騰、土地・建物の強制収用への反対デモは許されない。唯一許されるのは、トヨタの車に乗ってソニーの携帯を持ち、キヤノンのカメラを肩から下げながら反日デモに行くことだ」と皮肉たっぷりの声も。さらにノーベル平和賞授与が決まった服役中の民主活動家、劉暁波氏(54)の名を挙げ「若者たちは反日は訴えるのに、なぜ劉暁波氏の釈放は訴えないのか」との不満も聞こえる。(毎日新聞10月18日)
韓国はどうかというと、
「韓国の料理人志望者は日本食への関心が非常に強い。寿司を学んで帰国するとステータスになるし、本場で学んだことが日本食レストランに就職するためにも有利になる」
そういえば李長鎬『寡婦の舞』(1983年)は、見合いでは日本語を話せることが好条件になるという結婚詐欺の話だった。
次はロシアで、ヤマサ醤油の社員がこう語っている。
「日本食はロシアの若者たちの間で、『格好いい』と受けとめられています。日本食を知らないと、流行に遅れていると思われるのです。価格は一般の食事に比べて三倍ほどなのですが、男性にとっては女性を誘って食事をするときの切り札になっています」
ポーランドで寿司店を経営する日本人。
「日本人は文化的に進んでいて、いい人たちだというイメージがあります。ラジオでも毎日のように、『日本で今流行しているのは……』といった話が取り上げられています」
寿司店を経営するスペイン人。
「バルセロナの人々に比べて、日本人の礼儀正しさと謙虚な姿勢を非常にうらやましく思ったものです」
話半分にしても、うれしくなってくる。
福江誠氏はこう言う。
「アジアの国々は日本にあこがれを持っていることに日本人は気づくべきだ」
「アメリカやヨーロッパ、親日的な北欧、東欧でも日本への関心はますます高まっている。こうした状況を一番知らないのは当の日本人自身ではないだろうか」
アメリカ在住の作家。
「日本が自信喪失しているのと同じように、世界における日本のイメージが低下しているのかというと、そうでもないのです。先日、知日派のアメリカ人たちと話をしていたときに皆が言っていたのですが、サムソンやLGの躍進はすごいけれども、アメリカでは誰も韓国のカルチャーなんて知らないし興味もない、翻って日本の場合は、寿司からアニメ、サムライ、ハイテクに至る日本文化はみんな知っている。でもソニーやパナソニックはその好イメージを生かすことなく、ウォルマートでの叩き売りに走っている」
なるほど、日本人はもっと自信を持ってもいい。
「外国人がクール、つまり格好いいと見ている日本の文化を、日本人が評価・理解できていないために、新興国にものづくりで追いつき追い越されている現状に必要以上に自信をなくし、元気をなくしていることを日本の悲劇だという」
中国や韓国は日本を嫌っているとか、日本は世界でバカにされている、と言う人がいるが、これは自虐的日本観ではないかと、『日本人が知らない世界のすし』を読んで思った次第です。
イタリア:すしと宝石 フィレンツェでエレガントさ競演
イタリア中部、フィレンツェの駅前通りのショーウインドーを飾るすしとジュエリー=藤原章生撮影 イタリア中部、フィレンツェ駅前の目抜き通り。金銀、宝石類を売るブランドショップのショーウインドーに、女性2人が熱心に見入っている。
中を見ると、家紋を配したミニサイズのびょうぶと日本のひな人形、左隅には握りずしと巻きずしの模型が。すしの脇に、おちょことはしがあしらわれ、それに絡みつくように、店の売り物の指輪、腕輪、イヤリングがちりばめられていた。
すしはイタリア人にとって今、最もエレガントな食べ物。その人気に乗じ、我が商品もつまんでもらえればという、なかなかワサビの利いたアイデアだ。(毎日新聞10月28日)
韓国の場合は日本文化の解禁が遅かったこともありそれほど浸透していないにせよ、中国は特に若者のあいだでの日本文化熱は(今はどうかわかりませんが)高かった気がします。まあそのほとんどがサブカルチャーですが。
また、中国の学生はよく日本のことを知ってましたね。閣僚の名前や文学者の名前なども。逆に日本人や日本の学生は中国や韓国のことをほとんど知らなかった記憶があります(あくまでも10年近く前中国の大学にいた頃の経験に基づくものですが)
もしかすると、中国・韓国側は日本や日本人の気質、思考なども含め相当研究されてるのかもしれませんね。外交などで食われてしまうのもそのへんに起因してるのかも、と個人的には思います。
対外的に強腰にすることで、国内の不満をごまかすわけです。
市場として中国は巨大ですから、アメリカもあまり文句は言えない弱みがありますよね。
アメリカ人は世界のことを知らないそうですが、日本人も中国や韓国、アジアのことはあまり知ってませんよね。
私だって、韓国の大統領やベトナムの主席の名前は知りませんし。
北朝鮮だけ話題になるのも変な話ですね。
欧米にしか目が向いていないのは明治以来の伝統です。