3人の死刑執行 奈良女児殺害・土浦殺傷の死刑囚ら
谷垣禎一法相は21日、同日朝に3人の死刑を執行したと発表した。(略)
谷垣法相は会見で「いずれも誠に身勝手な理由からの犯行で、きわめて残忍。被害者や遺族にとって、無念このうえない事件だ」と説明。(朝日新聞2月21日)
谷垣氏が法相に就任して二か月、書類を精査する時間はないと思う。
被害者遺族の多くは極刑を求めていると言われている。
しかし、極刑が死刑だというわけではない。
神戸・須磨の暴行死:被告に懲役14年 「結果は甚大」−−地裁判決
神戸市須磨区の路上で10年10月、男性2人が暴行を受けて死傷した事件で、傷害致死などの罪に問われた同区の無職、松田智毅被告(24)の裁判員裁判の判決が15日、神戸地裁であった。奥田哲也裁判長は「無抵抗の被害者に一方的に強度の暴行を加え、結果は甚大」として、求刑通り懲役14年を言い渡した。(略)
釜谷さんの父智樹さん(47)は判決後、「事件の重大性が認められた。納得いかない部分はあるが、検察官には最大限努力してもらえた」と話した。(毎日新聞2月16日)
もしも死刑制度がなければ、被害者遺族は無期懲役を極刑として受け入れるのだろうと思う。
小倉孝保『ゆれる死刑 アメリカと日本』に、地下鉄サリン事件で霞ヶ関駅助役だった夫を亡くした高橋シズヱさんへのインタビューが載っている。
加害者と関わることが被害者の癒しにつながるように思う。
高橋シズヱさんは林郁夫の裁判を傍聴する。
高橋「事件直後は、もちろん死刑にしてほしいと思っていました。辛い毎日が続き、こんなに私を苦しめるのは林だと思っていました。(略)
私の中では、一九九五年三月二十日というのはぽっかりと空いたままでした。傍聴しながら言葉を聞き、何が起こったかを詳細に知ることで、その心の穴が少しずつ埋められたのは大きかった。傍聴を続けたことで、心の整理になったように思います」
そして、林郁夫を気の毒に思う気持ちさえ持つようになった。
高橋「私は幸せな人生を送ってきたことを考えると、何か気の毒に思えてきた。傍聴して聞けば聞くほど、気の毒な人だと思った」
小倉孝保氏はこう書いている。
「過去の林がやってきたこと、他人から見たときの林の像を知ることで、高橋は憎しみだけの気持ちから、哀れみの気持ちを持つようになった。同じ世代でありながら、「変な人生」を送ってしまった林と自分の人生を重ねることで高橋は、自分の幸せを再確認することができた。
しかし、そうした気持ちになるにはやはり、一定の時間が必要だった」
高橋シズヱさんは林郁夫について無期でも死刑でも大差はないと考えるようになった。
高橋「私は、(公判で)林の言うことを全部聞いたことで、「反省して謝罪しているんだから極刑までは望まない」という気持ちになったように思います。傍聴をしなかったら、当初の感情を持ち続けたかもしれません」
だからといって、林郁夫が社会に戻ることは認めない。
高橋「しかし、林が仮釈放になって家族のもとで幸せに暮らすことを許すことはできません。もしも、釈放されたら、林は自殺すべきだと思います。林の命は償いのためにあるべきです」
アメリカでは死刑に反対する遺族は少なくない。
娘を殺害されたアバ・ゲイルさんは当初加害者のミッキーを激しく憎んでいたが、ミッキーと面会し、今ではミッキーの死刑に反対している。
「事件から八年になるころ、ゲイルは相手を憎むことに疲れを感じる。自分の残りの人生は憎しみで終わってしまうのか。そうなることをキャサリーンは求めているのだろうか。ゲイルは癒しの本を読み漁り、憎しみを捨てようと教会などあちこちの宗教団体を訪ね歩いた。そして四年ほどしたころ、ゲイルは不思議な「心の声」を聞く。
「許しなさい。そして、それを相手に伝えなさい」」
そしてミッキーに手紙を書くわけだが、「心の声」ねえ。
デイヴィッド・ダウ『死刑囚弁護人』に、コンビニ強盗に息子を殺された母親が、加害者の死刑執行前、週に4時間ほど面会に訪れ、州知事に減刑嘆願書を書いたことが紹介されている。
怒りや恨み、復讐といった話に比べると、美しい話だと思う。
最新の画像[もっと見る]
- 植松聖「人を幸せに生きるための7項目」 4年前
- 植松聖「人を幸せに生きるための7項目」 4年前
- 植松聖「人を幸せに生きるための7項目」 4年前
- ボー・バーナム『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』 5年前
- 森達也『i -新聞記者ドキュメント-』 5年前
- 日本の自殺 5年前
- 日本の自殺 5年前
- アメリカの多様性 5年前
- 入管法改正案とカファラ制度 6年前
- マイケル・モス『フードトラップ』 6年前
「死刑」カテゴリの最新記事
- 「死刑囚表現展」のアンケートと平野啓一郎『死刑について』(13)
- 「死刑囚表現展」のアンケートと平野啓一郎『死刑について』(12)
- 「死刑囚表現展」のアンケートと平野啓一郎『死刑について』(11)
- 「死刑囚表現展」のアンケートと平野啓一郎『死刑について』(10)
- 「死刑囚表現展」のアンケートと平野啓一郎『死刑について』(9)
- 「死刑囚表現展」のアンケートと平野啓一郎『死刑について』(7)
- 「死刑囚表現展」のアンケートと平野啓一郎『死刑について』(5)
- 「死刑囚表現展」のアンケートと平野啓一郎『死刑について』(4)
- 「死刑囚表現展」のアンケートと平野啓一郎『死刑について』(3)
- 「死刑囚表現展」のアンケートと平野啓一郎『死刑について』(2)
ちなみに、死刑云々の話は一切関係ありません。
この死刑囚の名前でわかったことは…
姓名判断ほど下らなく、ふざけたものはない!
あんなもんは全くもって根拠も無く、信じるに値しないものである。
ということだけはよくわかったわ。
前に書きましたが、この死刑囚の名前は、俳優の名前と同姓同名だからである。
ちなみに、韓国や中国は同姓同名が腐るほどいるし、英国のオックスフォード地方にはシェークスピアって名前のひとも多い、って話もある。
同姓同名の俳優さんのほうはすごく味のあるいい俳優なのになぁ…
先日、ある人から「何年生まれですか」と聞かれて答えたら、しばらくして「あなたの性格がわかりました」と言われたんですね。
この人は四柱推命をやっていて、知り合いにはタダで見てあげてるんだそうです。
でも、誕生日が同じだったら、性格から、運命から、何もかもみな同じことになってしまいます。
こんなアホなことを信じている人が少なくないことに、驚きを通り越して唖然とします。
奈良女児殺害事件に関しての死刑囚の話で姓名判断の話になりましたが、今回もその続き。
何故、私が姓名判断を信じるに値しない、と書いたのは、その死刑囚と有名な俳優さん(名前に関しては円さんもよくご存知と思いますので省略します)と同姓同名だった、ってこと以外にもういくつかあります。
それは、外国人に対しては全くもって当てはまらない、ということである。つまり、漢字語圏以外のひとびとでは判断不可能ということである。
画数云々で、何画だと良いのか悪いのか、というのが有りますが、外国人だとまず絶対当てはまらりません。
例を挙げると、金正日、金日成など朝鮮半島の人たちです。
キムジョンイルは漢字で書くと“金正日”ですが、これはあくまでも中国、日本で通用するだけ
(なお、英語圏では“Kim・Jong・Il”だったか?)
であって、韓国、北朝鮮だとハングル文字の名前が本来の名前だそうです。
だったら、漢字やカタカナひらがなを判断材料とする姓名判断は当てはまるのか?という疑念が自ずと湧いてくる。
同様に“アッバス=キアロスタミ(イラン出身の映画監督)”も本来はアラビア語の名前が本来の名前なのに、画数を最重要視する姓名判断の方法で運命、運勢を出せるのか?といった疑問も出てくる。無論、未だにそういった疑問を解決してくれる答えを聞いたことが無い。つまり、漢字の名前を持つ人間限定であって、それ以外は当てはまらない、ということである。
あともうひとつは、名字の画数の良し悪しである。
ちなみに、私の名字は画数的には最悪な方だそうです。
仮にその姓名判断が正しければ、私の一家はとうの昔にいざこざばかり起こしていないといけないのだが、それは全くないです。
少なくとも、私の一族の中に、ならず者ばかり存在しないといけないのだが、幸いにしてそういうのは誰もいない。
(円さんにしょっちゅう反対意見ばっかり出して噛みつきまくってるからお前も十分ならず者、ってツッコミは無しです)。
まだまだ姓名判断を信ずるに値しない、という理由はいくつかありますがまたの機会にしたいと思います。
死刑とは全く関係ない話でごめんなさい。
でも、占いなんてのは、バーナム効果、すなわち何とでも解釈できる曖昧な言い方・誰にでも当てはまること・一つの文章に肯定と否定をまぜるなど、はずれようがない、だけど意味のないことを言っているにすぎません。
姓名判断は漢字の意味ではなく、画数、つまり数字によって運勢などを判断するものです。
画数さえよければ、死や苦といった字を使ってもかまわないことになります。
これは数字に隠された意味を見つけようとしたピタゴラス、カバラのような神秘思想、オカルトなどと同じだと思います。
平仮名や片仮名はよくて、アルファベットはダメというのも変な話ですよね。
坊さんでも姓名判断を信じている人は結構いるようで、子供の名前をつけているんだと得々として話します。
この坊さん、どういう頭をしているのかと思います。