三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

スティーヴン・フリアーズ『クイーン』

2007年05月17日 | 映画

スティーヴン・フリアーズ『クイーン』は、ダイアナが死んでからの一週間の動きを王室を中心として描いた映画である。

この映画を見た人は女王とブレア首相が好きになるだろう。
王室の伝統を守りたいという女王の気持ち、女王を守りたいというブレアの気持ち、どちらも理解できる。

しかしながら、ダイアナの死に涙することがなかった女王が、鹿が撃たれたと聞いてショックを受けるシーンを最後に入れたのはなぜだろうか。

そして、ダイアナの遺体を連れて帰るのに王室専用機を使うと言うチャールズに対し、「また無駄遣いをしていると非難される」と女王はいさめる。
女王はマスコミの王室批判を気にしているようだが、マスコミからダイアナの死に女王は冷たいという一方的な報道をされ、それに煽られて国民がヒステリックに反応しても、女王は今までどおりの生活を続けようとする。
このあたりも疑問に感じる。

もちろんこの映画はフィクションだから、女王がダイアナの死をどう感じたかは知りようがないし、女王夫妻やブレア夫妻の会話もどこまでが事実かわからない。

それにしても、エジンバラ公やチャールズが王子たちを連れて鹿狩りに行くのにはびっくりした。
王子たちが母親の死にショックを受けたから、気晴らしをしようというのは納得できるが、わざわざ殺生をしなくてもと考えるのは日本的発想か。
日本だったら精進料理という話になるわけで、宗教観の違いなのか。

王室をこうした形で描くことができるイギリスと、絶対に不可能な日本という違いは大きい。
親しまれる皇室を目指すのなら、皇室のいろんな問題をテーマにした映画を作れる雰囲気作りが必要ではないかと思う。

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