三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』

2014年02月18日 | 映画

私は映画を見ながら、一瞬寝てしまうことを何度も繰り返す。
しかし、マーティン・スコセッシ『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は上映時間約3時間にもかかわらず、眠気が吹っ飛ぶ映画だった。
しかし、見てて居心地が悪かった。
というのが、主人公を美化しているように思ったからである。

主人公のジョーダン・ベルフォートはインチキ投資会社ストラットン・オークモントの創業者で、投資詐欺の被害額は約200億円。
投資詐欺とマネーロンダリングの罪で4年と、1億1千万ドルの賠償金の実刑判決が下る。

映画のチラシにはこんなふうに書かれている。

実在したウォール街の株式ブローカーのダイナミックな成功とセンセーショナルな破滅を描く、仰天、興奮、衝撃のエンタテインメント!

ウォール街には、金にまつわる豪快な逸話がいくつも転がっているが、なかでも特別スケールの大きな話がある。26歳で証券会社を設立、年収4900万ドル(約49億円)を稼ぎ出し、10年間の栄光の果てに、36歳で楽園を追放された男、ジョーダン・ベルフォートの物語だ。成功、放蕩、破滅─そのすべてにおいて彼は、いまだ誰も超えられない破格の伝説を打ち立てたのだ。

度肝を抜くエピソードの宝庫であるベルフォートの半生を映画化したのは、アカデミー賞受賞監督マーティン・スコセッシ。監督がこの過激なキャラクターに指名したのは、5度目のタッグとなるレオナルド・ディカプリオ。ハリウッドのトップに君臨するふたりだからこそ、観る者の心をとらえて離さない強烈な問題作が誕生した。
学歴もコネもないのに、どうやってのしあがったのか? 周囲を熱狂させ、人々の〈欲望〉を巨額の〈カネ〉に換えた魅力とは? そして、すべてを手に入れた男が頂点から転がり落ちたその理由とは? 常識と良識を一時オフにして、破天荒な人生を楽しむ、驚愕のエンタテインメントが完成した!


「成功」と言ったって、人の金をだまし取ったからなのに。
8歳の子供がいるシングルマザーの社員が子供の学費として5千ドルを貸してほしいとジョーダン・ベルフォートに頼んだら、2万5千ドルの小切手をくれた。
本当は他人のことを気にかける優しい奴なんだ、というエピソードのつもりなのかもしれない。
しかし、そのころのジョーダン・ベルフォートにとっては2万5千ドルは紙切れみたいなものである。
このシングルマザーにしたって、口先三寸で顧客をだましては笑い物にしていたんだろう。

「破滅」とあるが、映画を見ているかぎり、破滅したようには思えない。
健全な生活に戻っただけのように思える。
刑務所に入ったといっても、「自分が大金持ちだということを忘れていた」というセリフがあるが、テニスをしているシーンがあるぐらいで、警備の軽い刑務所を22か月で出所している。
聞いた話だと、アメリカの刑務所では金があれば何でも手に入るそうだ。
逮捕され、離婚し、おそらく慰謝料や養育費に莫大な金額を支払ってるのだろうが、それでも依然として大金持ちなわけである。

ジョーダン・ベルフォートは現在、自己啓発プログラムの販売会社を経営、講演活動も行なっていて、著書を二冊書いているそうだ。
まあ、賠償金を支払わないといけないのだから、稼いでもらわないといけない。
かといって、今もいい暮らしをしているとしたら腹が立つ。



『アメリカン・ハッスル』も詐欺師の映画だが、主人公は自分を友達だと信じ切っている市長(みんなのためを考えているいい市長さんです)を裏切っていることに悩む。

こちらのほうがずっといい。

コメント
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