三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

「東京拘置所・衛生夫が語った「死刑囚」それぞれの独居房 第二弾」1

2013年07月31日 | 死刑

「死刑囚」や「東京拘置所」で検索すると、なぜか「週刊新潮」2月7号に載った「衛生夫が初めて語った! 東京拘置所「死刑囚」30人それぞれの独居房」を紹介した拙ブログの記事が上位に来る。

死刑囚の世話をした元衛生夫(受刑者)が見聞した死刑確定囚について語っているのだが、本当に衛生夫だったのかは疑問である。
というのも、宮前一明さんについてこんなことを言っているからである。
「再審請求をしており、提出書類が3つ必要なのですが、彼はそれをわざと1通ずつ出す。そうすると裁判所から、〝書類が足りません。いつまでに提出してください〟と通知が来る。それを無視していると、もう少し強い調子で催促する通知が来ます。それでも無視すると、今度は〝このまま出さないと請求を取り消します〟という強い勧告がくる。そこで、彼はようやく2通目の書類を提出するのです」

知人の話だと、宮前一明さんに来た手紙の内容を衛生夫が知ることはあり得ないし、刑務官が衛生夫に教えることもないという。
衛生夫ではなく、刑務官が小遣い稼ぎで「週刊新潮」に情報を売ったのではないかという気がする。

「東京拘置所・衛生夫が語った「死刑囚」それぞれの独居房 第二弾」は「週刊新潮」7月25日号掲載。

この衛生夫は前回とは別の人物だそうだ。
この記事を見て、衛生夫経験者が金目当てに新潮社を続々と訪れ、あることないこと吹聴するだろうと思う。

「私は数年にわたって死刑囚の食事の配膳やフロアの掃除、身の回りの世話を行い、生身の彼らと接してきました」

最初に袴田巌さんについて語っている。
「その老人は、わずか4畳の独房をいつもヨボヨボと歩いていました。関節はうまく曲がらず、身体を傾けながら、30分でも1時間でも、声を発することなく、表情を変えるワケでもなく、同じところを行ったり来たり……。まるで動物園の熊のよう」

認知症のような症状がしばしば見てとれたそうだ。

「放っておくと、水を無制限に飲んでしまうので、洗面台の水が止められていました。また、便器の水を飲んでしまったこともあったそうで、夜はトイレにも水を流せないようになってしまっています。さらに、自分の名前も書けません。死刑囚は、買いたいものを「願箋」という紙に書いて僕らに出すのですが、袴田さんはその名前の欄に「大王神界~」などと、漢字をお経のようにズラッと書くのです。欄をはみ出してもお構いなしで、紙一杯に書く。しかも、毎回〝名前〟は変わるのです」

ええっと驚く話で、いくら死刑囚だからといって、この扱いはひどすぎる。
袴田巌さんは拘禁反応だと言われているおり、おまけに認知症かもしれない。
それなのに、東京拘置所は治療もせずに放っているわけである。

造田博さんもひどい状態に置かれている。
「罪と向き合わない点においては、「池袋通り魔殺人事件」の造田博死刑囚も同様であった」として、次のように語っている。
「造田は何もしゃべらず、下を向いて一日を過ごしています。〝お茶要りますか?〟と聞いても、やや間を置いて手でバッテンの合図をするくらいで、私は彼の声を一度も聞いたことがありません。また、汚くてどうしようもない人間で、シャツも洗濯しないから、白いシャツが真っ黄色になってしまっているんです。トイレも絶対に流さないので、房は臭くて仕方がない。一言で言えば〝廃人〟同然の人物で、扱いにくさでは、フロアで屈指でした」
〝廃人〟同然の人物に「罪と向き合わない」と責めているわけで、衛生夫の語りに記者の偏見が混じっているのがわかる。

造田博さんは事件の前から統合失調症を発症していたらしい。
犯行の2年前にこんな手紙を前に外務省などに送っている。
「日本人のほとんどは小汚いものです。この小汚い者達は歌舞伎町で、人間でなくなっても、動物でなくなっても、生物でなくなっても、存在しなくなっても、レイプし続け、暴行をし続けると言っています。
存在、物質、動物が有する根本の権利、そして基本的人権を剥奪する能力を個人がもつべきです。
この小汚い者達には剥奪する必要があります。
国連のプレジデントに届けて下さい。
Hiroshi Zota  造田博」
98年6月、造田博さんはアメリカのポートランドに行くが、日本領事館に保護された時は錯乱状態だったという。

保健所で殺された犬の仇討ちのために元厚生事務次官宅を襲撃した小泉毅さんにしても、精神的に何らかの問題を抱えているかもしれない。


山本譲治氏(元国会議員)の講演を聴いて驚いたのが、重篤な統合失調症の人は心神喪失とされて罪には問われないはずなのに、そんな人たちが刑務所に少なからずいること。

軽微な事件では責任能力を争う裁判はほとんどないそうだ。
というのも、国選弁護人の報酬は6万円、精神鑑定は20万円もかかる。
裁判官も審理が長くなることを嫌い迅速にすませようとする。
それで、精神病院を退院したばかりの人がワンカップを1本万引きして、実刑判決になる。

裁判所は造田博さんたちが統合失調症であることはわかっていても、心神喪失で無罪にしたくなくて死刑判決を出したんだろうが、死刑囚が精神障害や心神喪失状態にある場合は死刑の執行できない。(もっとも、精神病の死刑囚も執行しているのだが)

袴田巌さんが病気だとみんな知っているのだから入院治療すればいいのに、法務省は何もせずに病死するのを待っているわけである。

コメント (11)
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