三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

朝山実『アフター・ザ・レッド』2

2012年09月27日 | 

連合赤軍はなぜ仲間をリンチしたのか。
朝山実『アフター・ザ・レッド』によると連合赤軍のメンバーは山には入るにあたって、詳細を知らされていない。
だから、キャンプに行くような軽装のものもいたし、着替えを持参していなかった人が多かったし、赤ん坊を抱いて夫婦で入ったものもいた。
加藤倫教「あとから参加したひとたちは、『参加したいやつは手をあげろ』と言われたりしたわけではない。来いと言われてきただけだというのが半分くらい。そういうひとは、いやになったら逃げようとしますよね。逆に、そういうことがトップのひとたちには、わかっていた。半ば強引に集めたという意識があるもんだから、逃げるんじゃないかと疑心にかられるんでしょう」
なぜ山には入るのかという意識の違いも事件の要素の一つということである。

革命が成功したらどんな世の中になると思っていたか。
前澤虎義「成功したら……。俺たちは、人民民主主義革命といっていたから、社会主義と資本主義の間くらいの体制をまずつくって、それを社会主義に変えていく。ただ、ソ連が崩壊し、中国が変質していくのを見て、これは難しいと思いましたね。
ホームレスや失業者のいない社会を目指すというのはありましたけど、それをどうやって実現するのかというところでは、ヨーロッパのワークシェアリングがあっているのかなぁといまは思いますけど、あの当時はそういうことを具体的に突き詰めて考えたりはしなかった」

加藤「そこはねぇ、当時は考えてなかったと思います。機関紙の頭のところに、スローガンが書かれていて、要約すれば、平等な社会、平和な社会をつくろうということになるんだけど、それは概念で、具体的にどうするか、個別のことは考えているひとはいなかったんじゃないでしょうか」

植垣康博「いや、ぜったい失敗していたでしょう。ポル・ポトのような世界になっていたでしょうから、ならなくてよかったんだと思う。何百万という人間を殺してしまうハメになっていたかもしれない」
この回答はいずれも面白い。

加藤倫教さんはこうも言っている。
「名古屋のある政治組織のひとたちに呼ばれて、環境保護活動について講演したあとに、あなたがたは権力を取ったらどういう社会をつくろうとしているのかと訊いたことがあるんですが、わからないというんですよね。政治権力を取るというのが目的になっていて、具体的な社会のありようについて、どうしたいのかということは後回しになってしまっている」

日本を変えると言う人はいるが、どのような社会にしたいのか、そのためにはどうしたらいいのか、そこがはっきりしていないように思う。
世の中が閉塞しているのは○○のせいだと仮想敵を作り、こうしたらすぐにでもよくなるという、そんな耳に快い言葉に酔い、ムードに流されるようでは、連合赤軍のことを笑えない。

コメント (2)
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