三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

橋下弁護士への賠償命令とダイオキシン(1)

2008年10月04日 | 日記
橋下弁護士に800万賠償命令 光市懲戒請求訴訟で広島地裁判決
山口県光市の母子殺害事件(99年)を巡り、橋下徹弁護士(現・大阪府知事)のテレビ番組での発言で懲戒請求が殺到し業務に支障が出たなどとして、被告の元少年の弁護士4人(広島弁護士会)が計1200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、広島地裁であった。橋本良成裁判長は「発言と懲戒請求との間に因果関係があることは明らか」として橋下氏に原告1人当たり200万円、計800万円の支払いを命じた。橋下氏は控訴する方針。
視聴者の行為を促した発言が違法と認定されたことで、今後の番組制作や出演者のコメントに影響を与える可能性もある。
 判決によると、橋下氏は昨年5月放送の情報バラエティー番組「たかじんのそこまで言って委員会」(読売テレビ)で光市事件の弁護団を批判。事件の動機が「失った母への恋しさからくる母胎回帰によるもの」などとした弁護活動に対して、「許せないって思うんだったら一斉に弁護士会に懲戒請求をかけてもらいたい」などと発言し、4人に計2500件以上の懲戒請求が届いた。
 原告側は「発言は名誉棄損に当たり、裏付けのない理由で不特定多数の視聴者に対して懲戒請求を煽動する行為は違法」などと主張。橋下氏側は「懲戒請求は(請求者の)自発的意志に基づくもの」として発言との因果関係を否定していた。(略)
 また、弁護士の役割について「被告のため最善の弁護活動をする使命がある」とし、「弁護団が非難を受ける筋合いではない。橋下氏は弁護士として当然これを知るべきだった」と批判した。(毎日新聞2008年10月2日)


橋下徹氏は会見の冒頭、「地裁の判断は重く受け止める。表現の自由の範囲を逸脱していた」と頭を下げている。

「大変申し訳ございません。私の法解釈が誤っていた。裁判の当事者のみなさん、被告人、ご遺族に多大な迷惑をおかけした」
「表現の自由の範囲を逸脱していたという裁判所の判断。判決内容を見ていないが、私の考え方が間違っていたものと重く受け止めている」
「懲戒請求したことまで違法なら、一般の方にも責任を持って謝らないといけない」


このように謝罪しているにもかかわらず、ネットでは不当判決だという意見が多い。
ブログにはこういう感想があった。

「えー!あれで橋下が敗訴になんのか?弁護士の懲戒請求ってのは国民に認められた権利じゃねーのかよ?弁護士様は、一度なってしまえばどんなに非道い事をしても良いんですか?」
「今回の判決は、さらに「言葉狩り」に拍車をかけそうだ。「言論の自由」ってヤツがある。特にテレビなんかではある程度常識的な範囲で制限を与えず発言させることで、番組が面白くなったりするのだが。。。」
「世の中の常識と異なる判事の世界  なんせこの世界はお高く止まっている人が裁くので庶民感覚とは程遠い、法の世界は何とも冷たくて悪に味方するように作られているようですわ」
「請求を認めることは裁判官が「悪に加担」したことにならないか。裁判官にも、国民からの「懲戒請求」制度を作ろうよ、と呼びかけたい」


報道記事のコメント欄からいくつか拾ってみました。

「国民の意見を代弁したほうが、名誉毀損で賠償しなくてはならないとは世も末ですね。「業務に支障」って、暇でやることないから、こんな売名行為にしかならない裁判に出てきてるくせに、よくも平然と言えたものだ。広島「弁護士会」が広島「地裁」に訴えた裁判・・・。身内でやったようなものか」
「広島地裁・・・アホですか?」
「要はエリート集団に楯突いた連中への脅しですね。エリート様のファシズムへの道へ一歩前進ですね」


まるで戦時中に「戦争はよくない」とか「日本は負ける」と言ったら、「非国民だ」とののしるような状態である。
橋下氏自身が謝罪しているのにどうして判決を非難するのか不思議である。

弁護士や判事に対する劣等感を感じさせるコメントも散見する。
「エリート集団」の中に弁護士であり大阪府知事である橋下氏は含まれるはずだが。

橋下氏自身は「時間と労力がかかる」から懲戒請求をしていない。
これだけで橋下氏に不信感を持ってもおかしくないと思う。

裁判で橋下氏側は「弁護団に対して懲戒を申し立てるかどうかについては視聴者の自由意思にゆだねており(略)各発言によって扇動されたものではない」と主張している。
懲戒請求した本人に責任があるから関係ないという責任逃れの仕方は、悪徳商法やインチキ健康食品などの広告塔をしている俳優や歌手が「広告を見た人の自由意思であり、私は関係ない」と開き直っているようなものである。

俳優や歌手がそんなことを言ったらすごい非難攻撃を受けると思う。
俳優や歌手は悪徳商法だとは知らなかったかもしれないが、橋下氏は弁護士だから懲戒請求とはどういうことか熟知しているはずである。

そして、懲戒請求するについてはその根拠を調査・検討する義務があることを最高裁判決で示しているのだが、橋下氏はその対象は実際に請求した者であって、呼びかけただけの被告(つまり橋下氏)に義務はない、と逃げている。

コメント (10)
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