ニューエイジやスピリチュアルの霊魂観は、階層的霊界観と実体的いのち・こころ観からなると思う。
1,階層的霊界観
ニューエイジやスピリチュアルは、生まれ変わりをくり返しながら霊的に成長するために、自分で課題を考え、環境を選んで生まれ、そうしてだんだんと霊的に成長して階層を上がっていき、そうして霊性を完成させることが人間に生まれた目的だと説く。
自らが選んだ試練に耐えられなければ、下の階層に落ちてしまう。
この考えを階層的霊界観とよぶことにする。
幸福の科学の霊界観を例にして説明しましょう。(ニューエイジの影響を受けた新宗教はどれも似たり寄ったりである)
十次元惑星意識は地球神。
九次元宇宙界には大川隆法、キリスト、高橋信次らがいる。
八次元如来界は最上段階・太陽界(谷口雅春、老子、ヘーゲルら)、金剛界(アインシュタイン、福沢諭吉、ナポレオンら)、荒神(出口王仁三郎)の3つに分かれている。
七次元菩薩界は四つに分かれている。
五次元霊界は精神界・善人界で、毛沢東、レーニン、清少納言がいる。
地獄界にはマルクス、佐々木小次郎、ダーウィン、ニーチェらがいる。
マルクスは宗教を否定したから、ダーウィンは進化論を説いたからである。
九次元宇宙界に高橋信次(GLAの創立者)がいるのは、大川隆法が影響を受けたからである。
この階層は将棋や囲碁の初段と九段との力が違うというようなことではない。
それぞれの霊界は実在しており、霊性が上位の人は身体がこの世界にあっても、いろんなレベルの世界に行くことができるが、低位の人は自分が今いる世界しか知らない。
大川隆法の霊界観について、島薗進氏は毎日新聞に次のようなコメントを述べている。
『幸福の科学が相当大きな宇宙観、普遍倫理的な生き方を説いているのが魅力になっているように思える』。(米本和広『大川隆法の霊言』)
東京大学宗教学の先生がをほめているから、そうなのかと思って大川隆法『太陽の法』を読むと、ムー大陸とかの話に唖然として、他の本を読む気が失せた。
ニューエイジ系の新宗教では、信者の霊性がどの段階にあるかによって信者のランク付けをする。
オウム真理教では、どういう神秘体験をしたかによってレベルが判断されていた。
「それも教祖に言うんじゃないもんね。僕なんか村井秀夫さんに言ったからね「赤いのが、まだ見えないんですが…。あっ、見えてきました。見えました!」。そうしたら、「おお、そうか、そうか」ってメモして「ハイ、キミ成就だよ」だって」
「自動車の免許みたいに、「こういう体験をしたから成就。解脱だ」ってヘンな意味づけを行った。そこに致命的な過ちがあると思います」(カナリアの会編『オウムをやめた私たち』)
レイチェル・ストーム『ニューエイジの歴史と現在』によると、霊界に段階があるという考えは神智学協会のブラヴァツキー夫人(1831~1891)が言い出したらしい。
ここで言われる人類の進化とは通常の進化の概念とは違っており、人類の霊的成長という意味である。
個人の霊的成長と人類の進化とは関係があるとされる。
立花隆『臨死体験』にキルデ医師の発言が載っている。
そして、キルデ医師は「(宇宙人は)高次の意識世界の住人」と言う。
宇宙人が人類の霊的進化に関係しているという考えはニューエイジやスピリチュアルの教義の一つである。
ニューエイジやスピリチュアルでは個人、そして人類の霊的完成が究極の目的だから、人間中心の進化観である。
しかし、そもそも進化には一定の方向性はないし、個人の記憶、経験、獲得形質は遺伝しない。
根拠のない理論にもとづく世界観はニューエイジやスピリチュアルの特徴の一つである。