三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

ニューエイジ・スピリチュアルの霊魂観(1)

2008年09月02日 | 問題のある考え

ニューエイジやスピリチュアルの霊魂観は、階層的霊界観と実体的いのち・こころ観からなると思う。

 1,階層的霊界観
ニューエイジやスピリチュアルは、生まれ変わりをくり返しながら霊的に成長するために、自分で課題を考え、環境を選んで生まれ、そうしてだんだんと霊的に成長して階層を上がっていき、そうして霊性を完成させることが人間に生まれた目的だと説く。
自らが選んだ試練に耐えられなければ、下の階層に落ちてしまう。
この考えを階層的霊界観とよぶことにする。

幸福の科学の霊界観を例にして説明しましょう。(ニューエイジの影響を受けた新宗教はどれも似たり寄ったりである)

あの世とは、天国と地獄というような簡単なものではなくて、実はピラミッドみたいな階層構造になっているのです。いま私たちが住んでいるこの世界は三次元の世界。あの世は四次元から九次元まであって、九次元が最高で、最低は四次元。この四次元の一部が幽界といって、地獄があるのです。(米本和広『大川隆法の霊言』)


十次元惑星意識は地球神。
九次元宇宙界には大川隆法、キリスト、高橋信次らがいる。
八次元如来界は最上段階・太陽界(谷口雅春、老子、ヘーゲルら)、金剛界(アインシュタイン、福沢諭吉、ナポレオンら)、荒神(出口王仁三郎)の3つに分かれている。
七次元菩薩界は四つに分かれている。
五次元霊界は精神界・善人界で、毛沢東、レーニン、清少納言がいる。
地獄界にはマルクス、佐々木小次郎、ダーウィン、ニーチェらがいる。
マルクスは宗教を否定したから、ダーウィンは進化論を説いたからである。

九次元宇宙界に高橋信次(GLAの創立者)がいるのは、大川隆法が影響を受けたからである。

高橋信次によれば人間の魂は、光の性質に応じて六つの位階に区別され、それらは上位のものから、如来界・菩薩界・神界・霊界・幽界・地獄界と名づけられた。現世とは「魂の修行場」であり、肉体の死後に魂は、生前に積み上げた「業(カルマ)」に応じて、各界に転生する。(大田俊寛『現代オカルトの根源』)


この階層は将棋や囲碁の初段と九段との力が違うというようなことではない。
それぞれの霊界は実在しており、霊性が上位の人は身体がこの世界にあっても、いろんなレベルの世界に行くことができるが、低位の人は自分が今いる世界しか知らない。

大川隆法の霊界観について、島薗進氏は毎日新聞に次のようなコメントを述べている。

大川主宰に会ったことがあり、内外の新しい宗教動向にくわしい東大宗教学研究室、島薗進助教授。霊的な神秘体験もさることながら、この宗教の教えが①現代的な霊界観にもとづく体系的宇宙観を持ち②新宗教の重要な要素だった『心なおし』の面もまた体系的に整理されている―の二点に着目し、こう言う。
『幸福の科学が相当大きな宇宙観、普遍倫理的な生き方を説いているのが魅力になっているように思える』。(米本和広『大川隆法の霊言』)

東京大学宗教学の先生がをほめているから、そうなのかと思って大川隆法『太陽の法』を読むと、ムー大陸とかの話に唖然として、他の本を読む気が失せた。

ニューエイジ系の新宗教では、信者の霊性がどの段階にあるかによって信者のランク付けをする。
オウム真理教では、どういう神秘体験をしたかによってレベルが判断されていた。

「体験したビジョンについても自己申請なのね。こういう色が見えました、こんな光でしたって」
「それも教祖に言うんじゃないもんね。僕なんか村井秀夫さんに言ったからね「赤いのが、まだ見えないんですが…。あっ、見えてきました。見えました!」。そうしたら、「おお、そうか、そうか」ってメモして「ハイ、キミ成就だよ」だって」
「自動車の免許みたいに、「こういう体験をしたから成就。解脱だ」ってヘンな意味づけを行った。そこに致命的な過ちがあると思います」(カナリアの会編『オウムをやめた私たち』)


レイチェル・ストーム『ニューエイジの歴史と現在』によると、霊界に段階があるという考えは神智学協会のブラヴァツキー夫人(1831~1891)が言い出したらしい。

人類の進化の過程は七つの根幹人類に区分され、それぞれの根幹人類は特定の意識のパラダイム、あるいは意識のレヴェルを表わしている。現在の私たちは第五根幹人類のアーリア人であり、この時代に人間の意識が霊的な性質を獲得するに至る。第七根幹人類に至ると、現在の人間には想像もできないような至福を体験する。


ここで言われる人類の進化とは通常の進化の概念とは違っており、人類の霊的成長という意味である。
個人の霊的成長と人類の進化とは関係があるとされる。

立花隆『臨死体験』にキルデ医師の発言が載っている。

人類はいま新しい進化の段階に入ったのです。(略)いずれ全人類が、新しい次元へ、新しい世界へ移行していくことになるでしょう。臨死体験者は、この新しい人類進化の先がけなのです。臨死体験において、人はこの三次元世界を超越して、時間にも空間にも縛られない高次元の世界に入っていきました。死というものが存在するのはこの三次元世界だけで、その次元を抜けると死はないのです。肉体が存在するのは三次元世界だけです。人はそこを抜けると、肉体の束縛を脱して本来のエネルギー体に戻り、時間に縛られた世界から時間がない永遠の世界に入っていきます。その世界は、全て愛に満ち、調和しています。そこでは全ての真理が一瞬にして把握できます。究極の真理は、全ては一つであるということです。全ての存在が本当は一つの存在なのです。この全宇宙が一つなのです。そういう全一的な宇宙意識をみんな獲得するようになるのが進化の新しい段階なのです。

そして、キルデ医師は「(宇宙人は)高次の意識世界の住人」と言う。
宇宙人が人類の霊的進化に関係しているという考えはニューエイジやスピリチュアルの教義の一つである。

ニューエイジやスピリチュアルでは個人、そして人類の霊的完成が究極の目的だから、人間中心の進化観である。
しかし、そもそも進化には一定の方向性はないし、個人の記憶、経験、獲得形質は遺伝しない。
根拠のない理論にもとづく世界観はニューエイジやスピリチュアルの特徴の一つである。

コメント (2)
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