人類はどのようにして霊性的に進化するのだろうか。
ニューエイジやスピリチュアルでは、個人の意識レベルが向上し、レベルの向上した人間が一定数を超えると、人類全体が一挙に進化すると説く。
現在、多くの人がスピリチュアルなものに関心を持つようになったのは人類の意識が進化していく表れの一つだとされる。
オウム真理教でも、悟りを得る者が誕生することで世の中が変わると説いていた。
「結局、僕が麻原さんについていけば大丈夫なんだって感じたのが、壮大な救済ドラマだったわけ。三万人の成就者が出れば、世の中の人たちを救済できるって言ってたけど、そこなんですよ」(カナリアの会編『オウムをやめた私たち』)。
TM瞑想(超越瞑想)のマハリシ・マヘーシュもマハリシ効果とを言っている。
意識レベルが向上する者が一定数誕生することで、人類全体が進化することは、「百匹目のサル」という事実によって証明されていると主張する人がいる。
百匹目のサルとは「ある行動、考えなどが、ある一定数を超えると、接触のない同類の仲間にも伝播する」という現象を指す。
しかし、これはライアル・ワトソンが創作し、船井幸雄が広めた作り話である。
このように、「個人の変革が世界の変革をもたらす」ということがニューエイジやスピリチュアルのキャッチフレーズである。
他にもあげてみましょう。
「心の力が未来を変える」
「意識が変われば世界も変わる」
「意識の進化が世界を変える」
「人生に敗北などない」
宇宙人が進化の手助けをしていると考える人もいる。
アセンションという言葉がある。
Wikipediaによると、「ニューエイジ、新興宗教などにおいて、人間もしくは世界そのものが高次元の存在へと変化すること」という意味である。
「...But I wouldn't mind!!!」というブログの「アセンションは麻原彰晃のいないオウム真理教となるか」という記事にアセンションの説明がある。
http://blog.livedoor.jp/coro19/archives/51010608.html
・地球は「アセンション」に向かっていて、2012年にピークを迎える。
・「アセンション」とは、次元上昇である。
・地球がアセンションすると、人類も肉体的・精神的に高次元(四次元説、五次元説あり)へとレベルアップする。
・人間が高次元へ進むと、テレポートできたり、テレパシー送ったり、思い描いたものを目の前に出したり、思考したことが即座に現実になったりする。
・人間がアセンションするためにはチャクラを高め、想念(物事の尺度を測る感覚らしい)を解放し、自らを浄化する必要がある。
・瞑想するとチャクラが上がりやすい。
・他の惑星は既にアセンションを完了して、高次元の世界に突入している。地球のアセンションは利己的な意識を持った人間のせいで遅れをとっている。
・チャクラの低い人間はアセンションの時に高次元に昇れず、地球を出て他の星で暮らすことになる。
・2000~2005年は「混乱の時」、2006~2010年は「浄化の時」であり、世界で起きている様々な社会現象は全てアセンションへのプロセスである。(イラク戦争は「混乱の時」に始まったらしい)
・地球はアセンションしないともう既に滅びる一歩手前。
マヤ暦の日付が2012年の12月22日で終わってるのは、12月23日にアセンションが起こるかららしい。
レイチェル・ストーム『ニューエイジの歴史と現在』に「ニューエイジは自分たちと同じ意識を持つ人々だけが住む世界を求める」とあるが、自分と意見の合う人しかいないのが高次元の世界なわけで、自己中心主義であり、他者への冷淡さに陥っている。
1960年代に、魚座の時代に終わりを告げ、アクエリアス(水瓶座)という新しい時代(ニューエイジ)に入ろうとしていると言われた。
アセンションはこれの二番煎じにすぎない。
アセンションしなかった時の言いわけ(脅しもある)をちゃんと考えている。
なぜ2012年に人類が高次元に進化するのか、それはフォトン・ベルトによってだそうだ。
Wikipediaにこう説明されている。
フォトン・ベルトとは、銀河系にあるとされている高エネルギーフォトン(光子)のドーナッツ状の帯。一部の疑似科学信仰者やオカルティストが存在と影響を主張するが、科学的根拠は皆無であり、フォトンベルト実在の証拠として上げられたデータや写真も捏造又は誤りが明らかである。
はなはだ楽観的な未来像である。
階層的霊界観は、霊性のレベルによって人をランク付けし、霊性の高いエリートが一般大衆を導くという考えが基礎にある。
人類を進化させるための考えが、少数のエリートが人類全体を引き上げるんだ、目覚めている私は世界を変えるエリートだ、という特権意識になっている。
オウム真理教の元信者も自分のエリート意識を語っている。
「私も、一般の人に対して、自分は修行をしているから、あなたたちよりも上なんだって感じるようになってしまったし、みんなそうでした」
「「こーんな素晴らしい体験できた私というものは実は特別な使命を持って生まれてきた選ばれた民なんだ」という気持ちにさせてくれるのです」(『オウムをやめた私たち』)