三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

浅見定雄『にせユダヤ人と日本人』

2006年02月14日 | 

ベストセラーを辛口批評した岡野宏文、豊崎由美『百年の誤読』は、ほとんどの本をめたくそに切り捨てているのに、なぜかイザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』はほめている。
何となく山本七平氏が嫌いな私としては面白くなく、浅見定雄浅見定雄『にせユダヤ人と日本人』を読んでみた。

いやはや、メッタ切り。
『百年の誤読』には、「とにかく、教養の広さと深さに仰天。知は力なりとはこういうことなんだね」とか、「山本七平と知ってて読んでみても、逆にそのユダヤ理解の深さにビックリしたんです」などとほめまくっている。
ところが浅見定雄氏によれば、山本七平氏は聖書の知識もなければ、ユダヤ教も知らないそうで、『日本とユダヤ人』はトンデモ本である。

しかし、トンデモ本の愛好者は『トンデモ本の世界』を読まないだろうし、妹尾河童『少年H』に感動した人が山中恒、山中典子『間違いだらけの少年H―銃後生活史の研究と手引き』を知らないだろうように、岡野宏文、豊崎由美の両氏は『にせユダヤ人と日本人』を読んでいないに違いない。


山本七平氏は翻訳もしているのだが、ギリシャ語はもちろん英語すらろくろくわかっていないらしい。

で、思い出したのが、私が大学生の時である。
某国立大学教授が書いた本に、プトンという人のチベット史の日本語訳が付録としてついていた。
ところが、できの悪い我々でもわかるような誤訳だらけで、この程度の語学力でこれだけの本をよく書けたもんだと、みんなで感心したことがあった。
今は昔の物語。

コメント (3)
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