自然の中で生きている動物たちは、弱肉強食という過酷な世界を生きている。大きなものが小さなものを食べ、強いものが弱いものを食べる。
大自然のバランスは、こうした生態系を維持することにより成り立っている。
弱いものたちは、食べられても種を保存するに十分の個体数をもち、平然と食べられている。
逆に強いものほど、空腹に耐え、種の保存にあくせくしなければ生きていけない状況にあるのが、大自然の法則である。
草原のライオンは、必要なときにしか狩りをしない。それでも、大きな獲物を手に入れるのは、たとえライオンといえども、容易なことではない。何日も空腹を抱えて、暑さと飢えに苦しむ日々もあるそうだ。
では、人間はどうだろう。「長いものにはまかれろ」ということわざがある。「数は力なり」ということわざもある。
人間界にも弱肉強食の論理が存在するが、どうやら人間界は、弱者が少数で、強者が多数のようだ。
少数意見を重んじるのが、民主主義の原則というが、永田町あたりでは、原則というのは、はがし忘れた冬の冷やし中華のメニューのようなもので、聞かれれば、「ああそうだね」というほどのものなのか。
郵政民営化法案をめぐって、政党内のいざこざが問題になっている。法案の内容そのものよりも、派閥議員として生きていけるかどうかという人間の浅ましさばかりが目につく。
自らのいのちを犠牲にした議員もいるというのは何ともおぞましい限りである。
人間界の種の保存もいのちがけという点では共通するのだろうか。