3月を迎えた。街ではマスクをした人を見かけるようになった。毎年この時期になると、憂鬱になるのは花粉症。春一番に乗ってやってくるのは、甘い香りではなく、あの黄色い杉花粉。
もうかれこれ20年近くの付き合いであろうか。私は春を鼻で感じる。ムズムズ、ズルズルくると、来たなという感じである。こんな病気は子どもの時にはなかったように思う。いつごろからこんなおかしな病気が流行り出したのだろうか。
杉の花粉は、若い雄花の咲く雄の杉から出るそうだ。昔は、春になっても杉の花粉がこれだけ多く飛散することはなかったという。
日本が高度経済で発展し、都市に人口が増えると、山を切り開いて住宅を建てるようになった。東京も数多くのニュータウンができ、地下の高騰ともあいまって、郊外の山林が住宅地化した。
山間部の杉は住宅材として使われ、新しく植林もされたが、市場経済は高い日本の木材よりも安い外材を輸入するようになり、林業は廃れ、山が荒れた。住宅の柱や梁にしようにも、若い杉や檜は枝打ちをしないと木が曲がってしまう。枝打ちをする人が少なくなったので、間伐もされず、荒れ放題に伸びた杉の木は、新しい花を咲かせ、人間に復讐している。
国はようやく国家の緊急課題として花粉症の対策に乗り出すようだが、にんまりしているの製薬会社ぐらいのものか。
ヘックション。ズルズル。あーいやだ。