水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

ユーモア推理サスペンス小説 無い地点 <28>

2024年07月16日 00時00分00秒 | #小説

「様子を見るって、それまで私ら、どうしてればいいんですっ、管理官っ!?」
 口橋の鋭い追及に手羽崎はバタバタと羽根を動かすでなく、苦笑して片手で頭髪を撫でた。^^
「私に訊かれても…。ともかく、今後の捜査方針は庭取さんと詰めますよ…」
「それにしても署長、どこへ行かれたんでしょうね?」
 鴫田が口橋の横から訊ねた。
「そうだな…。まさか、神隠しに遭われたってことは…。いやいや、そんなことはないな、ははは…」
 口橋は小さく哂(わら)ったが、顔は引き攣(つ)っていた。
「ミイラの消滅といい、署長の行方知れずといい、私にはどう考えていいのか分かりません…」
「管理官が分からないんですから、私らにはサッパリです…」
「あなた達は刑事なんだから、目星とかそういうのは浮かばないんですか?」
「署長は行方知れずになる前、署内におられたんですよね、管理官?」
「はい、庭取さんからそう聞いておりますが、それが何か?」
「だって、怪(おか)しいじゃありませんか、署内で消えるっていうのは…。ここは治安の最前線の警察ですよっ! 最後に署員が署長を見た場所は?」
「煎餅を買って戻られたとき、エントランスで立哨警備していた署員が見たということです」
「ということは、署内におられたんだ…」
 鴫田が話に加わった。
「だな…」
 口橋は小さく頷いた。


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