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OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

時間単位年休 付与後の変更

2010-10-24 23:08:25 | 労働時間
 先日の金曜日はOURSセミナーを午後の部と夜の部の2部制で開催しました。内容は「労働時間・休憩・休日」ということで、労働時間として取り扱うか否かの具体例、管理監督者の判断基準は、年次有給休暇の基準日制など、これまで顧問先企業からご相談を受けた事例を織り込みながら、時間も比較的ゆったり取れたため、かなり深いところまで説明できたような気がします。
 総合本科という社労士試験の初学者向けのクラスを教えている時にじっくり1つ1つの説明していた時を思い出しました。ご参加頂き熱心に受講して頂いた皆様には感謝です。今回から講義をそのまま収録をしてみましたので、有料ではありますが本とレジュメに講義の収録CDをつけてお分けすることができます。レジュメの説明の際は指示の部分がはっきりしないため分かりにくい部分があるかもしれませんが、話の中に実際の事例等が多く入っていますので、書籍を読む時に少しはお役にたつかもしれません。
人研のHPでご確認ください(数日後にはアップされると思います)。

 労基法の改正は各企業対応を終えて4月以降すっかり静かになってしまいましたが、私の中では時間単位年休の繰越について十分説明できるまでに至っていないような気がして気になっていました。その部分をセミナーの最後の方に入れてみました。ただ時間単位年休はもう一つ、途中で所定労働日数が変更になった場合の扱いが気になっています。
 
 付与後年度の途中で所定労働日数が変更になっても、付与日数を増加させることはないという通達が以前からありました。所定労働日数の少ないパートの場合の年休の付与はその日数に応じて年休が付与され、労働日数が変更になっても増減させなくても良いということだったわけです。しかし時間単位年休の時間については、年度の途中に所定労働時間の変更があった場合、付与時間数も変更することになっています。

 これまで8時間の所定労働時間が4時間になった場合で、年次有給休暇が3日と3時間残っているなら、3日と3/8時間残っていることとして3日と2時間に変更になるというものです。なぜ「2時間」になるかというと、4時間×3/8=1.5時間を切り上げて2.0時間ということになるのです。要するに時間単位の部分を所定労働時間数に応じて按分した時間数にするということなのです(Q&Aより)。

 確かにパートタイマーの年休を計算する場合は、時給の変更があれば変更後の時給で計算するのでおかしくないとは言えなくはないのですが、一回付与してしまえば権利であるため変更はできないという付与日数の考え方から行くと何となく違和感を持ってしまうのです。

松子デラックスという人のことを先週事務所で聞いたのですが(かなり遅れているようでスミマセン)、今日美容院にいって初めて雑誌で見ることができました。そこで悩みの回答をしていたのですが、なかなかいいことを言う人だなあと感心してしまいました。仕事のことで書いてあったのは、「小さいことを丁寧に辛抱強くやれる人がそれが積み重なって仕事のできる人と言われるようになる」とあり、そうかもしれないなあと妙に感じ入ってしまいました。

36協定特別条項の臨時的なもの

2010-07-19 00:18:15 | 労働時間
今回からブログに労働時間というカテゴリーを増やしました。労基法や育児介護休業法など大きな改正が一段落したら、やはり注目度が高いのは労働時間であろうかと考えて、今後取り上げることが多くなるような気がしたからです。

36協定の特別条項を締結している場合は、限度時間を超えて時間外労働をさせることができるということになっており、4月の労基法の改正で特別条項を締結する場合には割増率を定めることとなりました。

特別条項の乱用を避けるために、限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない「特別な事情」については臨時的なものに限られ、①一時的又は突発的であること、②全体として1年の半分を超えないことが見込まれること、ということになっています。

先日顧問先からの問い合わせで、毎年同じ時期にイベントがあり、この時期は必ず残業が限度時間を超えてしまうのだが、これは臨時的とはいえないため特別条項を適用できないのではないか?というものがありました。

確かに特別の事情は臨時的なものに限られ、突発的に業務量が増えたというイメージがあり、例として挙げられていたのも納期のひっ迫や大規模なクレーム対応だったなあと思い、少し時間をもらい調べさせてもらうことにしました。

そこでよく告示を読んでみたのですが、特別な事情は臨時的なものに限るとされ、臨時的なものとは「一時的又は突発的」に時間外労働を行わせる必要のあるものとなっています。突発的だけではなく「一時的」もあるんだなと気がつきました。例を見ると予算・決算業務もあるわけですから、時期的には毎年いつも同じ時期に残業が非常に多くなることが見込まれるのだろうと思われ、そうであれば毎年同じ時期のイベントも「一時的」に該当し、従って「臨時的」に該当するのではと思い当りました。

念のため労働局に確認をして、やはり毎年同じ時期に開催されるイベントで時間外労働が限度基準を超えることがあらかじめ見込まれても、年の半分を超えるようなことがなければ、一時的=臨時的なものとして特別条項を使っても良いという回答でした。

講義をしているときは「臨時的」=突発的と考えていたのですが、実際の実務に照らして考えると一時的というのは結構重要なのだなということが分かりました。


最近、企業の人事担当者の方からのご質問に回答をするのが楽しくて仕方がありません。以前からも顧問先企業からのご質問は好きでしたし、講師時代受講生に講義終了後質問してもらい一緒に考えたりして時間を過ごすのも好きでした。何といっても回答するには考え、時にはじっくり調べなければならないところが魅力です。それによって少し進歩したかなと思うと本当にこの仕事をしていて良かったと思います。これからもできるだけたくさんの企業のご質問を受けて行きたいと新たな仕組みを8月からご提案する予定です。

来週は7月27日(火)に行うOURSセミナーのパワーポイントレジュメの準備をします。すでにOURSセミナーも3回目ですが、今度は受講して頂いた方が少し楽しく学べるようなものにしてみたいです。