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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

専門型裁量労働制の場合の時間外労働

2012-07-22 16:44:15 | 労働時間

専門業務型裁量労働制を採用している場合、時間外労働は発生するのかということですが答えはもちろんイエスです。専門業務型裁量労働制は1日の労働時間を「〇時間労働したものとみなす」というみなし労働時間制であり、何時間労働したものとみなすかは労使協定により労使で定めることになっています。

例えばみなす時間を1日8時間と決めれば、たとえその日に2時間しか働かなくても6時間働いても8時間働いたことになります。その場合は当然1日についての時間外労働が発生することはないわけです。

また、みなす時間を1日9時間とみなすこともあるわけで、その場合は1日の法定労働時間の8時間を超える1時間の毎日時間外労働が発生するため、その分の割増賃金を支払わなければならないことになります。例えば所定労働日数が20日であれば1時間×20日=20時間の割増賃金を支払うことになります。

しかし8時間とみなし労働時間を定めた場合であっても時間外労働は発生することがあります。土曜日と日曜日が休みである週休2日制の場合、法定休日を日曜日と定めたときは土曜日は所定休日でしかなく、所定休日に労働した時間数は時間外労働の時間数に含まれます。要するに平日に毎日働き、土曜日に休日出勤をして日曜日に休んだ時は、平日だけで8時間×5=40時間となっていますので(たとえ実際は毎日5時間しか働いていなくても8時間とみなしますから必ず40時間になります)、その場合の土曜日の出勤時間は、週法定労働時間の40時間を超えて働いた分になり、その分が時間外労働になります。またその場合土曜日に2時間しか働かなくてもみなしの適用を受けて8時間労働したものとみなします。結局8時間の時間外労働がその週において発生することになります。

その状況があるのであれば、8時間のみなしの場合であっても36協定の中で適用対象者の人数を書くとき、専門業務型裁量労働制の対象者を除いて書いてしまってはいけないということになります。平成22年の労基法の改正以前は所定休日について休日労働に含めて考えている企業がほとんどでした。36協定もそのような書き方でもあまりうるさく言われていなかったと思います。割増率が休日の方が高かったのでそれほど大きな問題はなかったのですが、割増率が大企業は時間外労働が60時間を超えたら5割と改正されて、また長時間労働が非常に大きな問題になったためそのあたりを厳密にとらえる必要が出てきました。

現状で「8時間みなし」としていても「所定休日に出勤するような場合」には、36協定の時間外労働の対象者の人数に裁量労働時間制の人を含めていないと是正勧告になります。厳しいですね。

ところで所定休日に出勤した場合でもだいたいは2,3時間しか働かないというときは「みなし労働時間制の適用を月曜日から金曜日に限る」として、所定休日の出勤については通常の時間管理とすると就業規則等に規定することはできないわけではないようです(それはできないという通達等がないため)。その場合は所定休日に実際に働いた時間数に応じた割増賃金を支払うことになります。

ここ2、3日は涼しいですが先週は「夏!」になりました。暑さに負けず張り切っていきましょう。

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