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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

災害等臨時の必要による時間外・休日労働について

2011-03-20 21:43:51 | 労働時間

東日本大震災の被災を受けた方たちの様子を見るにつけ、この非常に厳しい状況の中でも穏やかさを感じる程の精神的な強さに尊敬の念と同じ日本人として誇らしささえ覚えます。是非1日も早くこれまでの生活に戻れるように願ってやみません。

また連日原発の事故の状況に落ち着かない毎日です。ここでとにかく被爆者を出さず、何とか事態を収束できればと願いながらテレビをずっと見ている状態です。今回の地震による津波は、万里の長城と言われていた宮古市田老地区にあった高さ10メートル長さ500メートル超の堤防もすべて破壊する想定外のことが起こったとのこと。それでも原発にはコントロールする電気系統がすべて破壊されるという想定外は許されないのかもしれませんが、東京電力の技術力を信じながら祈るような気持ちで見守っています。現場をはじめ関係者の方々になんとか頑張って頂きたいと思います。

東京消防庁の方が昨日インタビューされて今回の覚悟の任務について語っておられましたが、今日はお家で家族と休んでおられるとのこと。それに引き換え東京電力のインタビューにはずっと同じ方が出てこられています。現場の方も寝ることもなく復旧に力を尽くしておられるのだと思いますが、非常に長時間労働になっているだろうと想像できます。また被災にあわれた方達も、一日も早い復興に寝る間も惜しんで働いておられるのだと思います。また避難された方を受け入れる側の方達も同じかもしれません。

このような際における労働時間は36協定の特別条項で定めた延長時間の限度などとはいっておられないのは当然です。そのような場合どう対応するかというと、労基法33条1項の「災害等臨時の必要がある場合の時間外・休日労働によるもの」によることになります。

時間外・休日労働は、36協定を締結することにより行うことが通常ですが、災害等による臨時の必要がある場合についても行うことができます。この場合は36協定による場合と異なり、労働時間延長の限度基準は適用されません。法36条2項の労働時間の延長の限度については、『36協定で定める労働時間の延長における限度を厚生労働大臣は定める』としていますので、災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働については平成15年厚労告355号の限度基準(例えば1箇月45時間など)の適用はないことになります。

ただし、災害等臨時の必要がある場合の時間外・休日労働は、事前許可又は事態急迫のために行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受ける暇がない場合においては事後に遅滞なく届け出なければならないとされています。 またその場合時間外、休日労働、深夜労働についての割増賃金については、通常と同様に支払わなければならないことになっています。

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