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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

36協定特別条項を適用する場合の手続きについて

2016-07-18 23:28:17 | 労働時間

最近の労働基準監督署の調査は以前より厳しくなったと感じています。2015年4月に、過重労働による健康被害の防止などを強化するため、違法な長時間労働を行う事業所に対して監督指導を行う過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」が新設され、過重労働対策に力を入れているあらわれだと思います。

長時間労働の抑制に最も重要な役割を果たすのが36協定であり、届出は時間外・休日労働を行う会社であれば当然のことなのですが、協定の内容も適正に締結されているかどうか注意が必要です。今年2月に行った渋谷労働基準協会主催の「36協定集中講座」は約120名のご参加があり、講義終了後のご質問も20人くらいの方が並ぶなど会社もかなり真剣に対応を考えていると感じました。この講座では36協定だけをテーマに3時間お話ししたのですが、今年に入って監督署の調査に立ち会うとさらにいろいろなことをお話ししておく必要があることを実感して、来年はさらにお話しするポイントが増えそうです。

時間外労働については1箇月45時間等の限度時間が定められており、この限度時間を超える場合は特別条項を締結しておく必要があります。特別条項についての上限時間の制限はないのですが、通常は1箇月80時間程度の時間外労働を定めている場合が多いかと思います。ちなみに特別条項が80時間を超えて定められている場合は監督署の調査の対象になることが多いようです。

この特別条項は臨時的に適用することができ、その適用は年半分までと定められています。また適用する場合については手続きが必要ですが、「労使の協議を経て」と定めている場合なかなか実行できないケースが多いため「労働者の過半数代表者に通知をすることにより」ということで「通知書」を作成して通知することをお勧めしてきました。

しかし今年になって「通知書」が存在した場合でも、特別条項の適用の後に通知されたものでは認められず、事前通知をすることと是正勧告されるようになりました。確かに通達では「労使当事者間において定める手続きを経て」となっていますから、事前通知をしてから特別条項を適用する必要があるということになるのですが、社員一人ひとりが45時間などの限度時間を超え特別条項が適用される際に通知等の手続きをとるのは人事担当者としては非常に大変なことです。

とにかく一人分の担当の仕事を減らす、人数を増やしてシフトを分割するなど工夫をして、時間外労働は45時間以内に収めるのが一番だと最近つくづく感じております。

特別条項付き協定を結ぶ場合の要件は以下のリーフレットに記載されています。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-4.pdf#search='36%E5%8D%94%E5%AE%9A%E3%80%81%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%9D%A1%E9%A0%85%E3%80%81%E6%89%8B%E7%B6%9A%E3%81%8D%E3%80%81%E9%80%9A%E9%81%94'

いよいよ夏休みが始まりますね。受験生はここが勝負どころということになると思います。来年から夏休みを思いきり楽しむためにもとにかく今年力を出し切り頑張ってもらいたいと思います。

私は今年の夏は、以前から登ってみたかった北横岳に挑戦してみようと思っています。

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