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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

労災メリット制に係る不服申し立て

2023-09-18 23:20:04 | 労働保険

昨年12月に「労働保険徴収法第12条第3項の適用事業主の不服の取扱いに関する検討会報告書」が発表され、労災保険のメリット制について事業主が不服申し立てができる仕組みに見直す方針が了承されました。メリット制は労災と認定された場合に事業所が負担する労災保険料が引き上げられる制度です。これまで労災認定について、事業主が不服申し立てはできなかったのですが、今回の検討会報告書でも認定についての不服申し立てが認められることになったわけではありません。あくまで不服申し立てできるのは労働保険料についてということになります。

今回の報告書では、以下のように取扱うことが適当であることが取りまとめられました。
(1)労災保険給付支給決定に関して、事業主には不服申立適格等を認めるべきではない
(2)事業主が労働保険料認定決定に不服を持つ場合の対応として、当該決定の不服申立等に関して、以下の措置を講じることが適当。
 ア) 労災保険給付の支給要件非該当性に関する主張を認める
 イ) 労災保険給付の支給要件非該当性が認められた場合には、その労災保険給付が労働保険料に影響しないよう、労働保険料を再決定するなど必要な対応を行う。
 ウ) 労災保険給付の支給要件非該当性が認められたとしても、そのことを理由に労災保険給付を取り消すことはしない

今のところどのような不服申し立ての方法になるのかは具体的に整備されていないようですが、メリット制の仕組みについては理解しておくと良いと思います。と言っても非常に複雑な仕組みなのでごく簡単に説明すると以下の通りです。

メリット制は、継続事業、一括有期、単独有期でそれぞれ異なりますが、継続事業については以下のような計算方法で「労災保険率を上下させる仕組み」となります。労災給付に要した費用が少なければ労災保険率は下がり、多ければ労災保険率は上がるということです。

・まず適用される労災保険率から非業務災害率(一律0.6/1000)を減じた率を±40%の範囲で増減させる仕組みが大前提です。従って通勤災害で労災認定されたものについては労災保険率に影響しないわけです。
・この上下幅40%の範囲はメリット収支率により決まります。例えばメリット収支率が10%以下であれば40%減となりメリットが効きますが、150%を超えると40%増ということでデメリットが効く(要するに保険料率が上がる)ことになります。
・それではメリット収支率とはどのように決まるかですが、以下の計算式で算出されます。
(連続3保険年度中の)業務災害に係る保険給付及び特別支給金/(同)確定保険料×第1種調整率×100=メリット収支率
つまり、メリット制の適用に必要な収支率が出るのは3保険年度後であり、その間に給付した給付額が払った保険料に対してどのくらいの割合であったかを算定するわけです。(第一種調整率は年金を一時金に換算した保険給付に合わせた調整のための率です)

やはりなかなか複雑な仕組みですね。大きな労災事故があっても3年経過後に保険料率に影響するので事業主は今頃なぜとびっくりすることがあるようです。

いよいよあれこれ沢山の仕事を抱えて走っている最中で、それでも何とかスケジュール通りこなせているので快調な気分です。コロナ禍の半年間の自粛期間に行けなかったとき、蟻に家がやられて大変なことになっていたので、月に1回は小淵沢の家の様子を見にいくのですが、今回は流石に向こうでも出かけずPCに向かっていました。ただ窓の外の景色に癒され、時々外に出て深呼吸をしたり結構ワーケーションも仕事が捗ると感じました。まだまだ昼間は夏の空気なのですが、夕方になるとかなり涼しく秋の気配です。以前から仕事の途中で見つけて買ってみたいと思っていたコージーコーナーさんのプチケーキの詰め合わせを行きがけに購入しました。こちらも秋のシリーズになっていました。可愛さ満載なのでぜひ一度!お勧めです。

     

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