『食』のカタチはなるほど変わってきている。
昔は、保存食というと味噌・漬物・梅干程度でいろいろなものが保存できるなんてことは考えられなかったし、実際出来なかった。それを長期間(現在のものは一般的に3~4年)保存を可能にしたのが、缶詰の技術。その缶詰は、基本的に調理済みなので、あけてすぐ、または簡易な加熱などのみでそのまま食べることができる。製造時に完全に殺菌がされており、尚且つ缶に損傷が無い場合に限り、数10年以上経過した物でも食用に堪えられる。日本では1871年に長崎でイワシの缶詰の試作が行われ、本格的な生産が始まったのは1877年北海道石狩市だったそうだ。でも、本格的に普及するきっかけは、1923年の関東大震災以降で、アメリカから送られた支援物資に缶詰が用いられたことによるものといわれている。
現在はその缶詰よりも冷凍技術の進化で冷凍食品が幅を利かせているが、冷凍食品の弱点はエネルギーコストがかかり過ぎている点や災害時には緊急援助物質にはなりえない点だろう。
缶詰の延長線上の技術としてレトルトが上げられるが、低温レトルト殺菌が発明されたのは1955年で、現在は業務用での需要が高いといわれている。
カップヌードルの普及のきっかけは、あの1972年2月の浅間山荘事件といわれており、緊急時に活用されたことで注目を浴び、その後一般的に普及するというパターンがこういう食品(保存食)の特徴なのだろうか。