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騙すこと、だまされること 五

騙すこと、騙されること
5・ミルグラム実験
「ミルグラム実験」」とはイエール大学の心理学者スタンレー・ミルグラムによる「閉鎖的な状況において権威者の指示に従う人間の心理状況についての実験」です。この実験は、アイヒマン裁判(1961年)の翌年に上記の疑問を検証しようと実施されたため「アイヒマン実験」とも呼ばれます。

 実験参加者は「この実験は学習における電気ショックを使った罰の効果を測定するものである」と最初に説明されます。そしてクジを引かされ「教師役」となり、ペアを組むもう一人の実験協力者が「生徒役」となるようにセッティングされます。

 しかし実験は教師役だけが真の被験者であり、生徒役は役者が演じるサクラで、実験には生徒役は電気ショックを受けた演技をする、というものでした。つまり教師役である被験者には実験の本当の目的は知らされていません。

 電気ショックは45ボルトから始まり、教師役は生徒役が回答を間違えるごとに電圧を15ボルトずつ上げていくように指示されます。生徒役の反応は実際に拷問を受けているかの如く絶叫し、もがき苦しむものであり、とても演技とは見えないものでした。具体的には以下のようなものです。

 75ボルト;不快感をつぶやく。
120ボルト;大声で苦痛を訴える。
135ボルト;うめき声をあげる。
150ボルト;絶叫する。
180ボルト;痛くてたまらないと叫ぶ
270ボルト;苦悶の金切り声を上げる。
300ボルト;壁を叩いて実験中止を求める。
315ボルト;壁を叩いて実験を降りると叫ぶ。
330ボルト;無反応になる。
(以降は450ボルトまで無反応のまま)

 そしてもし教師役である被験者から「実験を中止したい」という意思表示されたら「権威ある博士らしき男」が以下のような言葉で続行を促します。
「続けて下さい」
「実験を続けて下さい」
「絶対に続けて下さい」
「他に選択肢はない。あなたは続けなければならない」
「相手の体に後遺症を残すことはありません」
「責任は我々が取ります」
                            続く
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