日々の感じた事をつづる
永人のひとごころ
騙す事 騙されること
2024年9月26日06;06荒川 央
騙すこと、騙されること
荒川 央さんのサイトより
https//noto com/hiroshiarakawa/n/9a932605feda
〈転載開始〉
伊丹万作(1900年・明治33年~1946年・昭和26年)は、日本の映画監督、脚本家、俳優、エッセイスト、挿絵画家です。映画監督の伊丹十三は万作氏の長男です。以下万作氏のエッセイから一部を引用させていただきます。
- 騙した人は誰なのか
- 凡庸な悪
- ミルグラム実験
- 地獄への道は善意で舗装されている。
- コロナ騒動とお金
- 一方的に騙した人はいたのか
- 集団心理を反転させるために
伊丹万作 戦争責任者の問題
さて多くの人が今度の戦争で皆が皆、口をそろえて騙されていたという。私の知っている範囲では「俺が騙したのだ」と言った人間はまだ一人もいない。
ここら辺からもうぼつぼつ解らなくなってくる。
多くの人は騙した者と騙された者との区別ははっきりしていると思っている様だが、それが実は錯覚らしいのである。
例えば民間のものは軍や官に騙されたと思っているが、軍や官の中に入れば皆、上の方を指して上から騙されたというだろう。上の方へ行けば、更にもっと上の方から騙されたと言うに決まっている。
すると最後にはたった一人か二人の人間が残る勘定になるが、いくら何でも僅か一人や二人の智慧で一億の人間を騙せる訳のものではない。
即ち騙していた人間の数は一般に考えられていたよりもはるかに多かったに違いないのである。
しかもそれは、騙しの専門家と騙されの専門家とに画然と分かれていたわけではなく、今、一人の人間が誰かに騙されると次の瞬間にはもうその者が別の誰かを捉まえて騙すというようなことを際限なく繰り返していたので、つまり日本人全体が夢中になって互いに騙したり騙されたりしていたのだろうと思う。続く
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