報道の又聞きですが、安倍元首相暗殺犯の青年はかなりの借金を抱えており、持ち金が尽きる前にどうしても殺害計画を実行に移さねばならなかった。暗殺は成功し、パンドラの壺が暴かれ、統一教会による底無しの汚染が報じられ世間が騒然とするなか死刑執行された、秋葉原事件の犯人の青年もまた借金を抱え、派遣の職を転々とする身であった。
借金は人を自暴自棄にさせる。犯罪を生み出す母体。しかし銀行やサラ金、あるいは派遣業はマスコミ広告の大得意で、政府自体も借金まみれであることから、さまざまな容疑者が借金苦であったとしてもその部分が詳らかにされることは少ない。10年くらい前のアメトークだったか、博多大吉が福岡県で芸人活動していた時期を振り返って、先輩格として後輩芸人に自分を追い込むため借金をしろと勧めていたという話を当たり前のようにしていて、彼は芸人の中では紳士的な常識人のように見えるけれども、やはりそこは渡世人というか、ヤクザ的価値観の使い走りに過ぎないのかなと思った記憶。
案の定、コロナ・円安・統一教会というTriple disasterが長期化するにつれ、芸人はもちろん各種著名人の不祥事や炎上・内ゲバなど毎日のように繰り返されている。去年の前半、私が聞いていた芸人のラジオのうち有吉弘行とハライチが急激につまらなくなり、残る空気階段もことしに入り衰退、聞くラジオがなくなってしまった。3組とも元から広告志向が強く、その割には節度があるように思っていたのだが、安倍暗殺によってオリンピック汚職の捜査も進むなど、30年眠っていた日本の社会が変化の波にさらされ、ヤクザの使い=あちこちから縛られた人質のようなものである芸人・著名人が変化に付いていけず逃げ遅れ、一挙に価値を失ってしまったように見受けられる。

パチンコになすりつけて統一教会を無理やり擁護しているのは、背後にブローカー・仕掛人的な人物がいるのか、あるいはネトウヨご意見番という「狭い世間」の情報収斂なのか。ビジウヨ・統一方面の直接的な縛りに加え、メディアを通した有名人で、自分がどう見えているかというイメージを裏切れない、裏切ったら見向きされなくなってしまう恐怖、それはまあ必死なんでしょう。自分自分自分。有名でなくてもスマホを離せない人たちも。
「自己調整的市場と擬制商品」という、産業革命以降の英国にもたらされた構造変化が、先進各国のパラダイム転換を促したと、カール・ポランニーの1944年の著書『大転換』で解説されている。「労働」「土地」「貨幣」の3つが擬制商品を成し、食料のような本来的商品と異なって、マーケットを介さなければ交換価値を発揮できず、価値は変動し、それらが相互に絡み合ってマーケットは一人歩きする。コントロールできない。恐慌や気候変動もその帰結。メディア上にのさばる、有名になりたい人、なった人、売名家・広告的人間は擬制商品の究極的な姿だ。アンジャッシュ渡部や香川照之のように、有名であることは借金のようなものでもある。あなたを縛る。