つばめ江戸日記

岡本茉利さんや好きなアニメ、声優、時代劇等について好き勝手に思う事を書き連ねています。

私は医者だ→だから死んでもらう??

2013年04月20日 | 時代劇
時代劇で悪を退治する職業で意外と多いのが医者です。
覚えている限り列挙して行きますと
『破れ傘刀舟』『松平右近』『悪党狩り』『暴れ九庵』『あばれ医者嵐山』
『おんな浮世絵 紅之介参る』『世直し順庵』
…他にもあったかもしれません。
 
人助けを生業とする医者が人殺しをすると言うのは
よくよく考えると本業でやっている事と矛盾している訳ですので
「てめぇら人間じゃねぇ、叩っ斬ってやる!」と叫び
ワルを地獄に送る破れ傘刀舟の刀舟先生みたいに
ワルに理屈もクソもいらねえ!と開き直る例もあります。
それで良いんじゃないのか?と私も思う事もありますが
一方では、面白い事に医者が人を斬る為のそれらしい理屈を
(一応)本人に話させてけじめを付けている作品もあります。
 
例えば里見さんの松平右近こと藪太郎(藪さん)なんか
「俺は殺生は嫌いだ、だが歯向かう者は容赦しねえ!」
あるいは「人の病ばかりじゃねえ、世の中の悪を治すのも医者の務めだ
荒療治をさせてもらうぜ!」
と分かりやすく口上を決めます。
 
ただし医者が人を斬る理屈で、私が「そうきたか…」と唸ってしまったのが
『悪党狩り』の鶴田浩二さんの新村先生。
斬られる側からすれば、何言われても斬られるのが変わる訳じゃないのに
この人は「私は医者だ」→「人を治すのが務め」
「だがお前達は人じゃない」→
「だから死んでもらう!」
とご丁寧と言うか回りくどく理屈付けをしてから
人を斬っていくのが、非常に可笑しかったです。
 
この新村先生は実は『悪党狩り』の主人公ではありませんが
(※『悪党狩り』の本当の主人公は尾上菊五郎さん演じる同心神谷玄次郎)
時として、立ち回りシーンですら
主人公を凌駕するする活躍を見せる事がしばしばあったのも、
こうした変わった口上があったからなのかもしれません。