623話「ある夜の出来ごと」
畑野刑事は容疑者の行方を追って終バスに乗り込むが
そのバスの乗客に起きる「ある夜の出来ごと」とは…
・畑さんは容疑者野村(守屋俊志さん)の手がかりとなる涼子を追って
体調不良を押して、涼子の乗ったバスに乗り込みますが
その終バスに招かれざる客が二人やって来ます。
・乗ってきた丸山と大庭と言う二人の学生は
大学で事件を起こし、退学に追い込まれていた為
バスに乗り込むと、次々に乗客に悪態を付きます。
おまけに丸山達は空手部の人間で、逆らう人間を
力で抑圧するため、客の誰もが眉をひそめるものの
体調不良の畑さんは別にして、誰もが逆らえない状態となり
バスの中は学生が傍若無人に振舞う無法地帯と化してしまうのでした。
・途中までは、普通に乗客を下ろす等
まだ分別にある所を見せる丸山達でしたが
浮気していたサラリーマン杉江(江幡さん)が逃走し
杉江の不倫相手を殺してしまった事で
さらに行動がエスカレートしてしまいます。
杉江のサラリーマンなのに狡い所を
その手の役が非常に得意な江幡さんが
見事に演じていたと思います。
しかし、杉江の不倫相手の人が
あんな死に方をするのはちょっと不憫な気も…
・一晩バスを暴走させまくった丸山達でしたが、遂にバスがガス欠となり
しばらくガス欠となったバスに籠城するものの
ここで、体力を回復させた畑さんが大暴れし
大庭をあっさり手錠でつなぎ確保に至ります。
次に丸山との対決となりますが、小競り合いの後
ようやく丸山を追い詰めた所で体力切れとなって
畑さんが一旦お休みします。
・すると、それまで丸山達に抑圧されていた乗客達及びバスの運転手が
足が挟まって動けなくなり、苦悶の表情で叫ぶ丸山を
”明確に殺意を持った表情”で取り囲み
その上で、傍らの石を手に次々に丸山を殴り付け
遂には死なせてしまうと言う結末に至ります。
あの丸山を取り囲んだシーンでの
乗客達の「こいつ絶対殺してやる」と言う表情は
何度見ても強烈でした。
・丸山を手にかけた乗客達のプロフィールを
おなじみの島宇志夫さんが淡々と紹介するのが
また、後味の悪さを強調していました。
・一般的な道徳観からすると
何があっても人殺しは良くないと言われるんでしょうが
あそこまで丸山達にやり放題されれば
乗客達があんな行為をするに至るのも、よく理解出来てしまいます。
・また、乗客達が連行された後、畑さんが丸山の死体の傍らで
石を手にしつつ「本当は私が一番殺したかった…」
と抑圧された中で芽生えた本心を主任に吐露し
主任が畑さんの手から石を取り上げるシーンは
無言で主任が畑さんに「お前は刑事だろう」
と言っているようで、重みのある場面でした。
・畑さんメインで他の刑事の見せ場が少ない中
松長さんが誘導灯をクルクル回すシーンが面白かったです。
・太平洋戦争を想起させるような描写が脚本段階ではあった
と言う情報もありますが、実際に映像化された作品では
特にそう言う描写は無かったような気がします。
ただ、紙飛行機をバスの窓から飛ばすシーンに
ちょっと片鱗が残っているような気もします。
・これだけ凄まじい内容なのに
サブタイトルの字がコミカルな話を想定したかのような
字体だったのは、どう理解すれば良いのか…