ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

一献一品出合い酒@上田

2013年09月02日 | ◆一献一品出合い酒
駅前にあるそば店「よろづや」にて、御園竹常温×馬肉の煮込み皿。猛暑の蕎麦処にて信州そばで腹ごしらえするなら、佐久の地酒に郷土のスタミナ食な蕎麦前の、このコンビが似合う。

高温注意報の中、駅に降りたらすぐ避難とばかり、駅前そば店の戸をガラリ。昼飯をたぐる前に喉をしめらすべく、小振りな一合徳利にすぐ出るアテをオーダーする。薄くペナペナな赤身肉は、脂がほぼなくジャーキー風。煮込まれ染みた味がかむたびにじわりとにじみ出し、ほの甘やや辛の常温酒が引かれるように追いかける。猪口2〜3杯の酒には、盛りの軽めな小鉢。蒸し暑い中の城下散策前に、控えめな昼酒の一期一会。

蕎麦前を平らげ、そばをたぐり、支払う財布には小銭がいっぱい。50円玉を数枚混ぜさせてもらうと、当地ゆかりの武将・真田の六文銭を思わせるお勘定に。一献一品の小さな酒宴、信濃路にて天下泰平なり。

ローカル魚でとれたてごはん…『休暇村鹿沢高原』の、嬬恋イワナに嬬恋ヤマメ、ブランドニジマスぎんひかり

2013年09月02日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん
山峡の温泉に泊まると「こんな山奥で大した食材がなくて」などと、恐縮されつつ迎えられることがある。マグロなど海の幸が、ハレの料理だった頃の名残だが、今は山峡でも比類なく素晴らしい食材が豊富だ。冷涼な気候で育った野菜、栄養豊かな山育ちの天然キノコに山菜、それらを餌に山を駆けて育つイノシシや鹿など。まさに天然食材の宝庫、体にいいそれは大したものが、山峡のいで湯の食を演出している。

交通網の発達で、最近は山峡の湯でも朝とれの海の幸が並ぶようになる一方、地場産の川魚も清冽な水や養殖技術の進歩により、身が締まり泥臭さもなく、絶妙な食味と脂ののりで流通するようになった。こうしたブランド川魚が、海のない土地でもローカル魚として売り出し中で、群馬県鹿沢温泉の「休暇村鹿沢高原」では三種の「地魚」を味わった。

嬬恋イワナとヤマメは、宿の近くの湯尻川育ちで、つくりのイワナはシャッキリ瑞々しく、味がどっしり濃い白身。塩焼きのヤマメは身が厚くホックリ、ワタのほろ苦さがコクのあるアクセントになっている。紅色鮮やかな赤身は、群馬県の高級ニジマスのぎんひかり。こってり、トロリと重厚で魅惑的食べ応えは、飼育期間の長さにある。普通のニジマスは2年で成熟するのだが、これは3年かかるため大型になり、栄養価が向上して身の質がよくなるという。激甘の脂ノリノリの刺身は、いわばマスの大トロ、といった感じだろうか。

この日の三種はいずれも川魚独特のくせがなく、旅のハレの食膳を飾るにふさわしい地魚といえる。中国の諺で「海の鯛、川のコイ」という、それぞれで崇められる魚を挙げたものがある。コイの産地としても知られる群馬県だが、今後は川の○○に当てはめる魚を、いろいろと迷ってしまいそうだ。

ローカルベジタでヘルシーごはん…『休暇村鹿沢高原』の、嬬恋キャベツの料理2題

2013年09月02日 | ◆ローカルベジタでヘルシーごはん
キャベツといえば、アニメ主題歌の行進曲で、主菜ができあがったのに「どうした〜?」と唄われたのを思い出す。時としてツマや添え物的扱いも見られる野菜だが、群馬県嬬恋での畑風景は、ひと目見れば主菜として味わいたくなる圧巻だ。浅間山をバックに、高原に見渡す限り連なる若々しい緑の玉の数々。「どうした〜?」ならぬ「どうだ!」との、産地ならではの自信がみなぎっている。

夏でも15〜20度と冷涼な気候、かつ多雨で昼夜の温度差が激しいことが、嬬恋が日本一の産地たる所以という。未明の3時から収穫、しかもひと玉ずつ手摘みする、手間と愛情の賜物だ。嬬恋に近い「休暇村鹿沢高原」の昼食でいただいたキャベツ料理は、まさにその恵みの味。生のままのざく切りは赤味噌、白味噌、バーニャカウダソースをつけ、そのままパリッといく。しっとりながらシャクっと食感が残り、えぐみのない素直な甘さ。ソースをちょん、とつけるだけで、大地の持つ実力が充分堪能できる。

メインのその名も嬬恋キャベツ焼きそばは、千切りキャベツの上にソース焼きそばがのったスタイル。麺と一緒にガバッといけば、ズルズル、シャクシャクとヘルシーに進む。油っぽい麺を瑞々しい千切りがまとめ、温玉のおかげでまろやかな味わい。ざく切りが素材の味なら、こちらは出合の妙での実力発揮だろうか。

甘みがあり柔らかいのが嬬恋キャベツの特徴です、と話す料理長によると、ローカルベジタとして宿の看板料理にすべく、様々なアイデアを試行錯誤しているという。主菜の添え物を越えてキャベツ自体の印象が際立つものが理想、とか、客が近くの畑を眺めたり収穫や調理を体験したら味もひとしおかも、など、キャベツ談義に花が咲く。主菜のトンカツを差し置いて印象に残る、鮮烈なキャベツ千切りができれば最高、とは、ここのキャベツならあながち冗談でもないかも。

ちなみに昨日は村内の愛妻の丘で、「キャベツ畑の中で妻に愛を叫ぶ」なるイベントが開催されたという。畑のど真ん中にある専用台から、村名にちなみ妻への愛と感謝を絶叫するのだそう。略称「キャベチュー」に、今度は同じアニメのエンディングテーマを思い出すような。妻への愛はさておき(?)、場所柄キャベツ畑にも感謝を叫んでみたいところだ。