この週末は首都圏の桜が満開の予想らしく、昨夜は上野や井の頭公園の夜桜花見の様子を、ニュースなどで見かけた。自分が参加予定の花見の「宴」の予定は、あいにく来週あたりから。フライング気味の開花のおかげで、昨日今日は宴席なしで、散歩がてら満開の桜を眺めて過ごしている。
桜といえば、先日訪れた洋食レストラン「バレーヌ」のコース中、春らしい一品が供されたのを思い出す。軽く炙ったホタテの周りには、アスパラなど緑の野菜があしらわれ、ソースには紅色の小さな花が鮮やかだ。からめていただくと、パツンパツンに焼き上がったホタテになめらかなソースがからみ、ホックリ優しい食感。ほんのり爽やかな酸味と塩味が、どこか馴染みある後味である。
生クリームと小麦粉ベースのソースにあしらわれた花は、塩漬けの桜の花。ホタテと乳製品のベストマッチな味付けに合わせ、季節感をくっきり浮き立たせてくれる。桜の塩漬けはアンパンのへそにも使いますね、との説明に、馴染み感へちょっと納得できた気が。
花見は春になり桜の開花とともに到来した神様を、人間も共にもてなす行事でもある。花びらの一枚一枚にはその魂が宿り、風に乗り畑へ里へ人へ行き渡るとも。開花に先んじて桜を賞味したおかげで、自分の中にこの春の良い縁起が取り込まれたかな、と、今日も移動の電車の車窓に満開の桜を眺めつつ、思ったりする。