子供がまだ小さいため、なかなか家内とゆっくり食事に行く機会がない。独身の頃は、週末ともなれば横浜や銀座などに出かけ、ライブハウスに行ったり、話題のレストランをのぞいてみたり、と殊勝に? していたものだ。このところは子育てに追われているせいもあるが、これではいわゆる「釣った魚に何とやら…」状態である。とある土曜、子供を風呂に入れて寝かせ終えたところで、時計を見ると22時過ぎ。横浜へ繰り出すにはちょっと遅いが、たまにはどこか近くへ出かけて食事をしよう、ということになった。
とりあえず最寄駅の新杉田駅周辺へ出て、飲食店街がある駅ビルに行ってみるか、以前行ったラーメンの杉田家や卯月にするか。あれこれ話しているうちに、居酒屋で適当に頼みながらじっくり飲もう、という流れになってきた。昔「女房酔わせてどーするつもりっ?」との台詞が印象的なCMがあったけど、女房と差しで外で飲むなんて、久々でちょっと気恥ずかしいような気もする。海鮮居酒屋にショットバー、小料理屋など、駅の近くにある居酒屋の中から選んだのは、新杉田駅の高架下にある『うまいもの居酒屋すっとこどっこい』。どこかで聞いたことがある店名だな、と記憶をたどると、何と婚約直前のころに今はなき鎌倉シネマワールドに一緒に行った際、帰りに飲んだ大船の店と同じだ。何だか、余計に気恥ずかしくなってきてしまった。
扉をくぐり店内に入ると、木調を生かしたレトロなたたずまい。大船の店がどんなだったかは忘れてしまったが、ここはリニューアルした際に大正レトロをモチーフにした内装にしたという。禁煙席があるか店の人に尋ねたら「では個室へご案内します」。はやりの「ハコ系居酒屋」で、少人数の客でも利用できる個室が豊富なのが店の売りのようだ。おかげで女性客や家族連れの利用も多いとのことで、二人して個室に落ち着くと確かにプライベート感覚でくつろげる。
店の人が運んできた今日のおすすめによると、今が旬であるホタルイカの刺身があるという。好物なのでそれをさっそく注文、さらに大判のメニューを開くと、焼き物や揚げ物を中心に品数はかなり豊富だ。焼き鳥の盛り合わせに冷やしトマトを頼み、さらに家内のリクエストで麻婆豆腐も注文。店の人に辛さを聞いてみたら「本場風で結構な辛さですよ」。どれも300~500円と値段が手軽で、ほかにもうまそうなものもありつい頼みすぎてしまいそう。たまにふたりで食事に行くと1~2品多く頼んでしまい、最後はお腹一杯で苦労することがあるため、とりあえずこれで様子を見ることにする。ラガーの中ジョッキを頼んで、久しぶりに差しでお疲れ様の乾杯、である。
この個室、面白いことに、テーブルにビールのサーバーが設置されている。店の名物「テーブルビールサーバー」で、キリンの「一番絞り」をセルフサービスで注いで飲める仕組みだ。値段は10ミリリットルで12円、注いだ量はサーバー横にあるカウンターで表示される。すぐに出てきたホタルイカをつまみながら、まずはジョッキのラガーをぐっといく。ホタルイカは富山湾でとれる、名の通り海中で発光する珍しいイカである。小振りのを1匹つるりと頂くとひんやり瑞々しく、旬なだけに潮の香りとこってりした味わい。これだけでビールが進みすぐに中ジョッキが空になり、早くもテーブルのサーバーの出番だ。ジョッキを注ぎ口に持ってきて、ハンドルを引いてゆっくりとビールを注ぐと、不慣れなためやたら泡ばかりになってしまった。昔、うどん屋でバイトしたことがある家内に教わり、3分の1ほどビールがたまったらジョッキを斜めにして、静かに注ぐ。
そしてビールに合う居酒屋メニューナンバーワンは、何といっても焼き鳥。頼んだ3種盛り合わせは定番のモモ、皮、ネギマで、ほかシロやガツ、子袋なんてのもある。タレ焼きを選んだら、ニンニクの風味が食欲をそそる。さらに家内のリクエストである麻婆豆腐は、唐辛子の鮮やかな赤が見るからに辛そうだ。チンジャオロースやニンニクの芽炒めといった中華料理も豊富で、これも「本場四川風」とあるだけにビリッと強烈な辛さ。花椒が効いていて香り高く仕上がっており、これまたビールが進む。
差し向かいで料理をあれこれつまみ、ジョッキが空いたらサーバーで注いで、と、週末の夜はゆっくりと更けていく。結婚前と違い、飲んでの話題は子供の学校のことや仕事のことなど日常生活のことが中心だが、外で食事しながらだと普段よりも話が進む気がする。カルビにオイキムチを海苔が内側の「逆巻き」にした韓国風海苔巻きと、ニンニクが効いたタンタン春雨で締めくくり、お腹も一杯になり店を後に。以前のように横浜界隈に飲みに行くのは、さすがに寝ている子供を放ったらかしてでは気が引けるが、地元開拓を兼ねてたまには最寄の駅前で手軽にデート? するのも悪くないかも。(2006年4月22日食記)
とりあえず最寄駅の新杉田駅周辺へ出て、飲食店街がある駅ビルに行ってみるか、以前行ったラーメンの杉田家や卯月にするか。あれこれ話しているうちに、居酒屋で適当に頼みながらじっくり飲もう、という流れになってきた。昔「女房酔わせてどーするつもりっ?」との台詞が印象的なCMがあったけど、女房と差しで外で飲むなんて、久々でちょっと気恥ずかしいような気もする。海鮮居酒屋にショットバー、小料理屋など、駅の近くにある居酒屋の中から選んだのは、新杉田駅の高架下にある『うまいもの居酒屋すっとこどっこい』。どこかで聞いたことがある店名だな、と記憶をたどると、何と婚約直前のころに今はなき鎌倉シネマワールドに一緒に行った際、帰りに飲んだ大船の店と同じだ。何だか、余計に気恥ずかしくなってきてしまった。
扉をくぐり店内に入ると、木調を生かしたレトロなたたずまい。大船の店がどんなだったかは忘れてしまったが、ここはリニューアルした際に大正レトロをモチーフにした内装にしたという。禁煙席があるか店の人に尋ねたら「では個室へご案内します」。はやりの「ハコ系居酒屋」で、少人数の客でも利用できる個室が豊富なのが店の売りのようだ。おかげで女性客や家族連れの利用も多いとのことで、二人して個室に落ち着くと確かにプライベート感覚でくつろげる。
店の人が運んできた今日のおすすめによると、今が旬であるホタルイカの刺身があるという。好物なのでそれをさっそく注文、さらに大判のメニューを開くと、焼き物や揚げ物を中心に品数はかなり豊富だ。焼き鳥の盛り合わせに冷やしトマトを頼み、さらに家内のリクエストで麻婆豆腐も注文。店の人に辛さを聞いてみたら「本場風で結構な辛さですよ」。どれも300~500円と値段が手軽で、ほかにもうまそうなものもありつい頼みすぎてしまいそう。たまにふたりで食事に行くと1~2品多く頼んでしまい、最後はお腹一杯で苦労することがあるため、とりあえずこれで様子を見ることにする。ラガーの中ジョッキを頼んで、久しぶりに差しでお疲れ様の乾杯、である。
この個室、面白いことに、テーブルにビールのサーバーが設置されている。店の名物「テーブルビールサーバー」で、キリンの「一番絞り」をセルフサービスで注いで飲める仕組みだ。値段は10ミリリットルで12円、注いだ量はサーバー横にあるカウンターで表示される。すぐに出てきたホタルイカをつまみながら、まずはジョッキのラガーをぐっといく。ホタルイカは富山湾でとれる、名の通り海中で発光する珍しいイカである。小振りのを1匹つるりと頂くとひんやり瑞々しく、旬なだけに潮の香りとこってりした味わい。これだけでビールが進みすぐに中ジョッキが空になり、早くもテーブルのサーバーの出番だ。ジョッキを注ぎ口に持ってきて、ハンドルを引いてゆっくりとビールを注ぐと、不慣れなためやたら泡ばかりになってしまった。昔、うどん屋でバイトしたことがある家内に教わり、3分の1ほどビールがたまったらジョッキを斜めにして、静かに注ぐ。
そしてビールに合う居酒屋メニューナンバーワンは、何といっても焼き鳥。頼んだ3種盛り合わせは定番のモモ、皮、ネギマで、ほかシロやガツ、子袋なんてのもある。タレ焼きを選んだら、ニンニクの風味が食欲をそそる。さらに家内のリクエストである麻婆豆腐は、唐辛子の鮮やかな赤が見るからに辛そうだ。チンジャオロースやニンニクの芽炒めといった中華料理も豊富で、これも「本場四川風」とあるだけにビリッと強烈な辛さ。花椒が効いていて香り高く仕上がっており、これまたビールが進む。
差し向かいで料理をあれこれつまみ、ジョッキが空いたらサーバーで注いで、と、週末の夜はゆっくりと更けていく。結婚前と違い、飲んでの話題は子供の学校のことや仕事のことなど日常生活のことが中心だが、外で食事しながらだと普段よりも話が進む気がする。カルビにオイキムチを海苔が内側の「逆巻き」にした韓国風海苔巻きと、ニンニクが効いたタンタン春雨で締めくくり、お腹も一杯になり店を後に。以前のように横浜界隈に飲みに行くのは、さすがに寝ている子供を放ったらかしてでは気が引けるが、地元開拓を兼ねてたまには最寄の駅前で手軽にデート? するのも悪くないかも。(2006年4月22日食記)