ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

極楽!築地で朝ごはん22食目…『ひかり』の、アジが4枚のった鰺フライライス

2006年04月10日 | 極楽!築地で朝ごはん
 築地場外市場には、新大橋通り側から順に築地西通り、中通り、東通りと3つの通りが南北に走っている。実際にはそれら同士を結ぶ細い路地もいっぱいあり、店と店の間の狭い小径を抜けると別の通りへ、なんて具合に縦横無尽に歩き回ることができる。中には店の裏口に面した通路みたいなものもあり、仕込みの様子がのぞけたり、仕入れた品が入った段ボールが山積みになっていたり、中にはイスに腰掛けて昼寝中の人がいたり… 。表通りと違い、市場ならではのちょっとした生活感が漂っているので、迷い込んでみるとけっこう面白い。

 そんな路地の奥にある飲食店に、この日は思い切って行ってみることにした。こうした店の何軒かに、これまでも店の前まで行ったことがあるものの、よそ者を受け付けないような独特の雰囲気に押され、結局入れずじまいだった。築地西通りと中通りを結ぶ、建物の間の薄暗い路地を入ったところにある『ひかり』も、通りに看板など出ておらず、なかなか気付かない店だ。例によって躊躇するが、意を決してガラスの戸を押して店内へ。路地も薄暗いが店内も薄暗く、中には古めかしいカウンターがドン、と据えられていている。一角に腰掛けて回りを見ると、客はすべて河岸関係の人のみ。社会情勢や世間話、河岸の話題など、飯を喰らいながら店の人を交えて様々な情報交換をしているよう。今まで築地で訪れた飲食店の中で、常連色が最も濃厚な店である。

 かといって、別によそ者に冷たいということもなく、お冷やを運んできた親父さんがごく普通に注文を尋ねてくる。昔の定食屋風情の雰囲気通りに、様々な定食が揃っており、壁に貼られた手書きのメニュー短冊によると各種定食やフライ物、カレーライス、ラーメン、スパゲティなどが見られる。一応、魚河岸の食堂だから魚介の料理を探してみると、鯵フライライスや鮭フライライス、刺身定食ぐらいと案外少ない。寿司や海鮮丼など生魚が続きがちなので、ここは鰺フライライスを頼んでみることにした。

 他のお客に混じって、テレビのニュース番組をぼんやり見ながら待っていると、運ばれてきた大皿にはタップリのおかずがのっている。大振りのアジフライは何と、4つ。さらに大盛りキャベツ、マヨネーズ和えのスパゲティとかなりのボリュームだ。この皿だけで全部と思ったら、後からライスとみそ汁も運ばれてきた。これはがんばって食べなければ、とさっそく頂きます。丸々と大きいアジの身はカラッと揚がっていて、パリッとした衣に旨みが包まれている。サクッとかじってはご飯をガツガツ、これが相性バッチリで、朝から大盛りの飯をどんどんかきこめる。「河岸のフライ」はさすが、ネタの鮮度がいいからひと味違う。ご飯のお代わりができそうなほど食欲が出てしまい、4匹サッと平らげられてしまった。

 路地を再び通り抜けて築地中通りに出ると、薄暗い中にずっといたせいで日差しがやけにまぶしい。夏の日差しはこの時間でも厳しく、今日も暑くなりそう。いつもの100円ウーロン茶を1本買って、「丸豊」のおにぎりを昼ご飯用に2つほど買って、築地パワーを充填したら今日もがんばって仕事、である。(6月下旬食記)