ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

極楽!築地で朝ごはん15食目…土曜のブランチは築地で 「伝承ラーメン北斗」のピリ辛旭川風味噌ラーメン

2005年12月22日 | 極楽!築地で朝ごはん
 土曜の午前中に、急な用事で銀座界隈まで出かけることになった。前日は夜遅くまで飲んでいたため朝は少々寝坊してしまい、身支度もそこそこにあわてて出発。もちろん朝ごはんは抜きで、東銀座で地下鉄から降りた頃にはさすがに底抜けに腹が減ってしまった。仕事前の腹ごしらえに足は自然に築地へと向くが、今日は土曜日でしかもお昼前。築地へ向かう人の流れはものすごく、平日午前中の空いた築地に慣れている身としては、観光客と一緒に行列して食事するのは億劫だ。

 迷ったあげく築地の場外へは行かず、手前の築地4丁目交差点近くにある築地共栄会ビルへ。ここの地下の飲食店なら、場外よりいく分空いていると思ったのもあるが、以前ここにある店を訪れたとき、開店時間が遅く朝ごはんの時間帯にやっていない店が、ほかにあったのを思い出したからである。時計を見ると11時30分。「築地で朝ごはん」の定義からするとイレギュラーだが、まあお休みの日の遅めの朝ごはん、ということで、昼から営業の「伝承ラーメン北斗」の暖簾をくぐることに。飲んだ日の翌朝でも、ラーメンはやはりありがたい。

 店内はカウンター8席ぐらいとこぢんまりしていて、場外のカウンターだけの店や大衆食堂然とした店とは違い、落ち着いたインテリアの内装。開店して間もないために他に客の姿はなく、ご主人もまだ仕込みの続きのようである。味噌ラーメンを煮玉子のせで注文、壁には店やご主人の宣伝らしきものが貼ってあり、ラーメン屋開業までの道のりの記事を眺めながらラーメンが来るのを待つ。記事によるとご主人は転職してラーメン屋を始めたらしく、中には元の仕事である「医療建築」という本の宣伝も。ラーメンとは少々ミスマッチのようだが、果たして現在の「本職」の腕前の方はどうだろうか。

 築地のラーメンは、忙しい労働者向けに早くゆであげるため細麺が主流だが、出された丼からまず麺をすするとやや太めのちぢれ麺で、築地で食べたラーメンの中では一番太麺か。旭川直送の麺でしゃきしゃきした歯ごたえ、味がしっかりしていて食べ応えがある。スープも醤油系が主流の築地のラーメンと違い、味噌の深みがありほんのり辛く濃厚な味わいが後をひく。麺と同様に味噌も旭川から直送しており、これをイワシや煮干しや鶏ガラ、トンコツを始め様々な種類の素材を煮込んだベースに合わせているという。味の秘訣は、これも北海道の羅臼昆布。魚のダシと味噌の風味がうまくマッチし、築地のラーメンにしてはかなり複雑な味わいに仕上がっているようだ。

 食べ進めていると主人が「これを加えると味が引き締まるよ」勧めてくれたのは、トッピング用の辛みそ。とがった辛みがアクセントになり、さらに食欲が湧いてくること。煮卵ほかモヤシ、メンマ、カイワレにチャーシュー3枚と具だくさんなのもありがたく、カイワレの瑞々しさや味の濃いカマボコなど、すぐ近くで食材を売っている築地らしく具の旨さが際だっている。朝食昼食兼用のため、あっという間に平らげてごちそうさま。朝ごはんでは食べられない昼から営業の店を、週末のブランチで攻略してみるのもたまにはいいかも。(2004年6月12日食記)