暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

微睡む余生

2012-12-31 | かなしい
あなたの温もりを思い出そうとしている
しかし私の温もりすら思い出せない

あなたの優しさを思い出そうとしている
しかし私の優しさは体と一緒に吹き飛んだ

思い出すということは残酷だ
もう決して味わうことがないと突きつける
それなのに私はまたあなたを思い出す
冷たい指先の反響を聞きながら

抱き締めるあなたの体は温かかった
あなたもまた私を温かいと言った

いたずらに私の目を覗くあなたは優しかった
笑いかける私も同じものを返していた

しかしあなたは思い出の中
私は硝煙の最中にいる
もはやあなたは思い出の中
蘇ればきっと私はあなたを撃ち抜くはず

もう二度と手に入ることのない思い出に浸かり
それでも私は泥にまみれて生きている

涙も出てこない現在になってなお
私は絶望しきることができない

冷たさの中にある温かさ
それはまるであなたのようで
冷たくなる体はかつて熱を持っていたのだから
あなたの代わりにそれを抱いている

温かく優しいあなた
冷たく冷酷なわたし

けれどあなたは思い出の中
そしてわたしも思い出の中

幻想なんてとうの昔に嘲笑った
だのにいつかに私はあなたを思う
冷たく生ぬるい砂塵に包まれ
だから私は絶望することができない

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