スチームとダクトの音に負けじと
白々しく充満するクリスマスソング
不安を塗りつぶすように、
侘しさを押し隠すように
目の眩む電飾のあかりと眩んだ視界は
果たしてどちらが現実なのか
わたしは決め兼ねている
安寧を抱いて眠りたいだけだ
温かいものに触れて安らぎ
安寧に抱かれて眠りたいだけだ
安寧をかれらはせっついてくる
しあわせであれ、ひとびとよ、
しあわせであれと急かしたてる
ひび割れたスピーカーの音
いくつもの死に体を抱えるフィラメント
浮腫んだ足の指の先
眩んだ世界は元に戻らず
ふらつきながら帰り着く
帰るという形容が相応しくなくとも
ここしか戻る場所はない
安寧を抱く、ひんやり冷えていても
それでもわたしの安寧だ
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