暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

ささがき

2019-12-31 | 心から
がりがりとすり減る体を見ながら
生きてきて何年経っただろう
時折揺らめく炎の先は
脂の削り滓で燃えている
死期は早まりもせず遅くもならず
これが私のさだめだろう

これが私のさだめなのだ
濡れた芋虫のように身悶えて
がりがりと骨肉を飛び散らせながら
時々愛でてくれるひとたちに
手足を生やした気になっている

けれど私という偶像は
歪に削った彫刻で
生きたつもりになったとしても
火は変わらずに燃えている
腥色の水に浸かっている

五体満足に生きてなお
五体満足に生きたいと願い
生死の覚悟もろくにないまま
がりがりがりがり削っている
つまらない部分だけ守りながら

炎がいずれ尽きるとしても
それが私のさだめだろう
ひとびとよ、弱いものを
踏みつけるのは楽しかろう
路傍の芋虫は顧みられず
その体をぺしゃんこにして
組織をへばりつかせている
りとびとよ、弱いものを
慈しむのは愉しかろう
私という芋虫のまぼろしが
骨肉を散らし溺れているのは
あなたがたの愛による
これが私のさだめだから
失くしたいった細胞の
のぼる魂を眺めながら
いくつもの足音を轟かせ
みずから回した歯車の
噛み合う音を聞いている

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