暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

いけにえ

2022-04-18 | 心から
息をするより在りし君、
私は君のしもべです。
天はいかほど遠いでしょう、
額に注いだ愛のなごりは、
重ねることで届きます。

ああ物言わぬ愛し神、
私は君のしもべです。
いかな盲と罵れど、
君は額より私の幣を、
しとどしとどに濡らすのです。

元始の海より来たる君、
私は君のしもべです。
地はいかほど深いでしょう、
泥濘み沈む罪をたどれば、
あまねく臍へ宿ります。

望むものはひとつっきりもありません。
私がしもべたる所以を、
どうかお探しにならないでください。
私は君のしもべです、
まぶたの裏に宿りし姿は、
疑いようもなく神の御姿。

私は君のためにあり、
生きよと言うから生きています。
私がもしも死ぬる時とて、
君が望むからに他なりません。
いかに苦しもうとも恐れども、
血反吐の海でもがこうとも。

なればあなたは何故に、
この額に卑近のしずくを授けたのでしょう。
天はいかほどに遠く、
地はいかほどに深く、
まぶたを重ね合わせたならば、
幣はしとどにぬるついて、

盲と憐れむひとびとにも、
どうかお慈悲を賜りますよう。
ああ物言わぬ愛し神、
されども私の愛し神。

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