暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

血が沸騰している

2023-07-17 | 暗い
暑さから逃れ逃れた油虫がやって来た
虫をも殺す熱気と湿気に同情をおぼえながら
哀れな亡命者を踏み潰す
だから夏は嫌いなのだ
不浄をてのひらに塗り重ねて私は思う
夏は境目が曖昧になる
縄張りを侵されれば戦わなくてはならない
縄張りを侵せば刃を突きつけられても文句は言えない
いつもは歩けていた境界線上が
ぼやけて白んで見えなくなる
今日も月夜だけがおだやかで
真上から刺さる日差しはあまりに強い
境目の向こうに追いやった油虫よ
私は今、正しく歩けているだろうか
声は聞こえるはずもなく
蝉がじわじわ鳴いている

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