ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

キャタピラー

2011年04月06日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 今日はこの前の日曜出勤の振替でお休み。
 朝からDVD鑑賞を楽しみました。
 寺島しのぶが多くの映画祭で主演女優賞を受賞した「キャタピラー」です。

 戦時中のある村に傷痍軍人となってある少尉が帰ってきました。
 傷痍軍人とはいっても半端ではありません。
 両の手足を失い、耳も聞こえず、満足に話せない。
 ただ世を恨むような鋭い眼光だけが、彼の無念を物語っています。
 新聞に生きた軍神と取り上げられ、勲章をもらい、村で生きた軍神様として崇敬の念を集めています。
 しかし、寺島しのぶ演じる軍神の妻にしてみれば、新たな地獄の始まりです。
 世間では貞節な軍神の妻を演じ、家に帰れば肉の塊にすぎない夫の世話。
 軍神は食うことと、妻の体を求めることにだけ、凄まじい執念を見せます。
 食うか、寝るか、やるか。
 妻はそれに耐えながら、日本の勝利を信じて軍神の妻を演じます。
 日本軍の配色が濃くなると、軍神はかつて中国大陸で犯し、殺した女たちの幻影に怯えるようになります。
 そして迎えた敗戦。
 夫と妻はそれぞれ違う将来を求めるのです。

 寺島しのぶの演技があんまり大仰で、正直感情移入できませんでした。
 一般的な日本人はあんなに泣いたりわめいたりしないものです。
 もっと静かに苦悩するような演出が欲しいと思います。
 一方、軍神となった少尉。
 こちらは話せない役なので当然セリフはないのですが、目と、表情で訴えようとする演技は見ものでした。
 でも多分、一般的にはあんなに旺盛な食欲や性欲を見せることはなく、抜け殻のようになるんではないかなと思いました。

 なんだか反戦ムードのようなものを盛り上げようとする演出が随所に見られましたが、どうやらそれは失敗していて、むしろゲテモノのようになってしまった軍人夫婦が壊れていく過程を描いたドキュメントのような趣です。

キャタピラー [DVD]
寺島しのぶ,大西信満,吉澤健,粕谷佳五,増田恵美
ジェネオン・ユニバーサル

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