ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

ウランバーナの森

2015年08月17日 | 文学

 昨日は奥田英朗のデビュー作「ウランバーナの森」を読みました。

ウランバーナの森 (講談社文庫)
奥田 英朗
講談社


 ウランバーナとは、サンスクリット語で盂蘭盆会の意味。

 明らかにジョン・レノンをモデルにしたと思われる主人公、ジョンとその妻ケイコ、幼い息子ジュニアが、軽井沢の別荘地でひと夏を過ごす幻想的な物語です。
 奥田英朗といえば、ユーモア小説からミステリーまで、幅広くエンターテイメントを描く作家のイメージがありましたが、今作は純文学の香り漂う上品なものでした。

 ジョンはひどい便秘に悩まされ、医者に通います。
 ストレス性だろうということで、途中から精神科に移ります。

 軽井沢の森では、靄が立ち込めると、不思議な現象が発現します。
 ジョンと関係の深かった死者が、靄の中から現れ、つかの間の逢瀬を楽しむのです。
 ジョンは困惑しながらも、関係が良かったとは言えない母親や、ひどい言葉をなげつけて傷つけてしまったマネージャーらに会い、謝罪したりして、癒されていきます。
 お盆には死者がこの世に帰ってくるという故事を念頭に置いた物語なのでしょうね。

 それは現実に出来したことなのか、精神科医の催眠療法によるものなのか、判然としませんが、ジュニアがジョンの母親からもらったというキャンディが残っているところを見ると、不思議な現象が起きていたようです。

 若すぎる晩年、ジョン・レノンは実際に軽井沢で長期静養していたそうです。
 著者は多くのジョン・レノンの評伝で軽井沢での生活がほとんど描かれていないことから、想像力を膨らませ、幻想的で美しい夏休みを描いたというわけです。
 エンターテイメントの作家だとばかり思っていましたが、「異人たちとの夏」を彷彿とさせるような、豊かな物語でデビューしていたことに驚いたしだいです。

あの頃映画 「異人たちとの夏」 [DVD]
風間杜夫 ,秋吉久美子,片岡鶴太郎,永島敏行,名取裕子
SHOCHIKU Co.,Ltd.(SH)(D)

 

異人たちとの夏 (新潮文庫)
山田 太一
新潮社

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ラジオ出演

2015年08月17日 | その他

  友人からメールでラジオ出演の依頼がありました。
 ただし、FMさんむという、千葉県山武市の、立ち上げたばかりの小さな放送局です。

 友人は某大手放送局に勤務していますが、ボランティアで地元の放送局立ち上げに関わったようです。

 依頼内容は、8月末の土曜日に、30分から1時間程度、しゃべってほしいというもの。
 しかも内容はお任せだとか。
 ホラー映画ネタでも、文学ネタでも、なんでも良いというわけです。

 ラジオでしゃべること自体は何でもありませんが、ラジオでしゃべる作法みたいなものがあるなら、事前にレクチャーを受けたいと思い、友人には出演はOKだが、事前打ち合わせがしたい、と返信しておきました。

 友人とは、もう5年以上前、病気休暇の最後の頃、復職をめざして障害者職業センターでリワーク・プログラムを一緒に受けた仲です。
 リワーク・プログラムでは、リワーク・ミーティングとか、卒業プレゼンテーションとか、人前で話す機会が結構あり、その際、私のしゃべりが面白いと感じたようです。

 山武市在住以外でも聞く方法はあるようですが、どうすれば良いのか今のところ分りません。

 一度詳しい話を聞いてから、このブログでご報告したいと思います。

 何をしゃべっても良いなら、ホラーの名作と和泉式部の幻想的な和歌をからめて、とびおワールド全開でいきたいと思っています。


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