昨夜は冷酒をちびちびやりながら、デブで幼児のように天真爛漫な精神科医、ドクター伊良部が活躍する、「空中ブランコ」を楽しみました。
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空中ブランコ (文春文庫) |
奥田 英朗 | |
文藝春秋 |
以前読んだ「イン・ザ・プール」の続編です。
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イン・ザ・プール (文春文庫) |
奥田 英朗 | |
文藝春秋 |
伊良部総合病院の跡取り息子、伊良部先生は一風変わった精神科医。
総合病院の暗い地下の診察室で、患者を待ち構えています。
患者が来ると、まずはビタミン注射。
打つのはミニスカートに胸の開いた白衣を着たクールなナース。
伊良部医師、注射を打つのを観るのが大好きな注射フェチなのです。
某サーカスで空中ブランコのエースを張っていた男が、失敗を積み重ねるのを苦に来診したり、ゴールデングラブ賞の常連の名野手が暴投ばかりするのに苦しんだり、恋愛小説のカリスマが創作に悩んだり、それぞれに深刻な悩みを抱えて伊良部先生の元を訪れますが、伊良部先生は能天気。
しかし逆説的な方法で結局は解決してしまうところをみると、伊良部先生は名医なのかもしれません。
ユーモア小説とはかくあるべし、というような、愉快な短編集です。
自分の悩みは深刻でも、他人の苦しみは滑稽ということでしょうか。