ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

台風一過

2014年07月11日 | 文学

 台風らしからぬ台風が行ってしまい、しかし台風一過らしい暑さがやってきました。

 私が執務する部屋は西日があたり、エアコンをかけていても午後はむうっとする暑さです。

 お手討ちの 夫婦(めをと)なりしを 更衣(ころもがへ)

 与謝蕪村の句です。
 更衣は夏の季語。

 不義密通の罪で処刑されるはずのところ、罪一等を減じられて他国へ落ち延び、ようやっと二人で更衣の季節を迎えられた、といったほどの意でしょうか。

 色っぽくも切ない内容で、夏の句らしからぬ情趣を感じます。

 涼しさや 鐘をはなるる かねの声

 こちらも与謝蕪村の句。

 鐘がなるたびにその音は離れていく、ということで、爽やかな印象とともに、どこか寂しさも感じます。

 郷愁の詩人と呼ばれた面目躍如といったところでしょうか。

郷愁の詩人 与謝蕪村 (岩波文庫)
萩原 朔太郎
岩波書店

 私は俳人のなかではこの人の句を最も愛好しています。

蕪村俳句集 (岩波文庫)
尾形 仂
岩波書店

 ただ、わが国の文人の例にもれず、この人も夏を詠んだ句は少ないようです。

 夏と言う季節は、わが国の詩歌の美意識に合わないのかもしれませんね。
 暑すぎて閉口しますから。

 日傘の影 うすく恋してる

 と詠んだのは、20代半ばで亡くなった自由律の俳人、住宅顕信でしたか。

住宅顕信読本―若さとはこんな淋しい春なのか
辻 仁成,小林 恭二,石井 聡亙,香山 リカ,長嶋 有
中央公論新社


住宅顕信全俳句集全実像―夜が淋しくて誰かが笑いはじめた
池畑 秀一
小学館

 惜しい人を亡くしました。
 せめてあと10年長生きすれば、さぞかし多くの秀句を残したことでしょう。

 なぜか自由律の俳人は早死にする人が多いようです。
 尾崎法哉は40代前半、種田山頭火は少し長くて、60ちょっとだったと記憶しています。

 自然を詠むことが多い定型俳句に比べて、おのれの心中を馬鹿正直に吐露する自由律というのは、命を縮めるのかもしれません。
 そのストレスに耐えかねてか、大酒飲みが多いのも特徴ですね。

 これからしばらくは暑い日が続きますね。

 暑いのは本当に嫌ですが、この国に生まれたのだから、夏には夏の楽しみを味わいたいものです。

 もっとも、海水浴に出かけて日焼けしながらひと夏の恋を求めるような年はとうに過ぎてしまいましたが。

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拍子抜け

2014年07月11日 | 仕事

 今朝起きたら台風の気配すら感じられず、拍子抜けしました。

 テレビのニュースを見ると、私が住まいする千葉市は黄色い台風の円の中心に位置していたのに、不思議。

 通常どおり出勤できました。

 電車がストップして休校になることを期待していた高校生諸氏はさぞかしがっかりしたでしょうねぇ。

 今日を見越してあらかじめ休暇を取っていた職員も何人かいますが、これでは何のための休暇かわかりません。

 思い起こしてみると、高校時代、臨時休校になったのは一度だけ。
 左翼過激派が同時多発テロを起こし、浅草橋駅をほぼ全焼させた時です。
 あの時は不謹慎にも、過激派、Good Job!、と思いましたねぇ。

 就職してからでは、東日本大震災の翌日、無理して出勤する必要はない旨のお達しが出ましたが、車通勤のため、何の影響もありませんでした。
 ただし、電車は完全に止まってしまったため、7割くらいの職員は来られず、その日は仕事になりませんでした。

 平穏な日常というものが、いかにもろいかを痛感させられました。

 今回の台風でも、土砂崩れなどで、今現在3名の方が亡くなられています。
 中には12歳の少年も。
 痛ましいかぎりです。

 石川五右衛門は、世に盗人の種は尽きまじと辞世を残し、この世の一面の真理を突きましたが、世に災害の種も尽きないようです。

 いくら防災を心がけても、避難しても、どうしようもない大災害というものが起こります。
 そのたびにより堅牢な防潮堤を建てたり建物や橋などの建造物を強化したりしますが、どういうわけかそれを上回る災害が起きますね。

 そして昔であれば、水害や冷害で飢饉が起き、大勢の餓死者をだしたりしました。

 今の日本ではよほどのことが無いかぎり餓死することはありませんが、自然災害による被害はいかんともしがたいものです。

 私はそれらニュースに接するたび、あぁはれ、と慨嘆し、世の無常を嘆かずにいられません。

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