気を感じながら暮らす

からだや自然について思うことなどを気ままに

黒い炎

2010-10-22 11:25:24 | 

 先日、陶芸家(信楽焼き)の弥延先生(小学生時の担任の先生)のところで、「釜焚き」を体験させていただいた。薪を手順良く燃焼させながら釜に入れるだけなのだが、難しい。諸先輩方のご指導の通りにやろうとするが上手くいかず、結局慣れる前に終わってしまった。それでも時間と火に追われる作業は自然と集中力が高まり、それが心地好く充実感が得られた。

 辺りは暗くなり釜焚きの最終盤、煙突が火を噴いた。モクモクと湧き出る黒煙の中心に赤黒い炎が天に伸びる。この色の炎は観たことが無い。蝋燭もキャンプファイヤーの炎も黒くはない。あえて近い色を探せば、それは須田国太郎の「窪八幡」、香月泰男の「朝陽」に描かれた「赤」だろうか。

 夕食時、先生の奥様がピアノを弾いてくださった。バッハの平均律・第一番・プレリュード。素晴らしかった。陶器が生まれるのと引き換えに、黒煙と炎が天に帰る。この時、これ以上相応しい歓送迎の音楽があるだろうか。


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