スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ヒューリック杯棋聖戦&給付金

2021-06-19 18:57:28 | 将棋
 淡路島で指された昨日の第92期棋聖戦五番勝負第二局。
 藤井聡太棋聖の先手で相掛かり。後手の渡辺明名人棒銀に先手が筋違い角を打つ将棋。序盤も中盤も終盤も平均より長い将棋で,総手数も171手と長くなりました。しかしその中で,明確な緩手といえるのが一手しかないという凄まじい一局でした。現時点での将棋というゲームのレベルの最高峰を象徴するような名局だったと思います。
                                        
 後手が歩を突いて角筋を止めた局面。ここで先手は☗6六金と上がりました。これは☖5五銀と打つ手がありますから,わざわざ上がったという感があり,驚いたのですが,この局面で均衡を保つのには最善であったようです。
 ☗6七角と逃げたときに☖6四歩と突きましたが,これがこの一局を通して唯一といっていい緩手。☗5五金☖同銀の金銀交換の後,☗9四歩☖同歩☗同香となり,後手の駒損が確定してしまいました。
                                        
 ☖6四歩のところで☖6六銀☗同銀と後手から金銀交換をしておくと,☖7四角と出る手が生じるので,先手の端からの攻めは実戦ほど有効ではありませんでした。☖6四歩のところで後手が攻め合いを目指すなら☖4六歩と取り込むのが最も厳しそうですが,これは先手の角筋が通ってくるだけに,選びにくい順であったでしょう。
 藤井棋聖が連勝。第三局は来月3日に指される予定です。

 ここまでは悲しみtristitiaに関連する感情affectusについて説明してきました。つまり悲しみそのものあるいは悲しみの一種である不安metusという感情が,新型コロナウイルスの蔓延を防止するのに有益であるというのがどういう場合であるのかということを説明してきました。あるいはこのことは,第四部定理一四そして第四部定理七との関係で説明したのですから,それに適合させていうのであれば,悲しみに関連する感情が,新型コロナウイルスを蔓延させることを促進してしまうような欲望cupiditasを抑制するというのが,具体的にどういう事例であるのかということを説明してきました。ただそうした欲望を抑制する感情は,悲しみに関連する感情だけではありません。喜びlaetitiaに関連する感情,いい換えれば喜びを希求するような欲望が,それとは別の欲望を抑制する場合もあり得ます。こうした事例としてどういったことがあげられるのかということを,ここからは例示していきます。これもまた論理的にそういう事例があり得るということを僕は説明するのであって,それを実証せよ,つまり現実にそうしたことがあったということを証明せよといわれても,それが僕に可能であるというわけではありません。
 最初の緊急事態宣言が発令された頃,全国民に対して一定の給付金を支給するという政策が実行されました。この政策は,公平なものであったか公平なものではなかったかと問われれば,僕は公平ではなかったと答えます。たとえば僕の妹は,資本主義社会における生産性という観点からいうなら,ほとんど生産性のない人間であるといって差し支えありません。作業所には通っていますから,給与は出ますが,年収でいえばこのときに支給された金額には遠く及びません。したがって新型コロナウイルスが蔓延した,あるいはそれに伴って緊急事態宣言が発令されたということことから受けた経済的な打撃というのは,皆無であったとはいいませんが,あったとしても微々たるものだったのは間違いありません。妹と比較すれば大打撃を被った人がいるわけですから,そうした人にも妹にも同額の給付金が支給されるということは,公平か不公平かというなら不公平きわまりないといえるからです。
コメント
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