スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

交替&喜びによる抑制

2021-06-21 19:18:11 | 将棋トピック
 あったらしい抗議に答えるために,まず必要な事項を並べておきます。
 第29期竜王戦挑戦者決定戦三番勝負は,2016年9月8日に第三局が行われ,丸山忠久九段を破った三浦弘行九段が挑戦権を獲得しました。後に明らかになったところによると,この対局では立会人が三浦九段の行動を監視していたそうです。つまりこの時点では三浦九段に対してあらぬ疑いがかけられていたということになります。もちろん三浦九段の行動には何の問題もありませんでした。
 竜王戦の第一局は10月15日と16日に指される予定となっていました。ところがこの後,挑戦者が変更になったという報知がありました。僕はこれを日本将棋連盟のホームページで最初に見たと記憶しています。ただしそこには,単に挑戦者が三浦九段から丸山九段に変更になったということがあっただけで,理由は書かれていませんでした。なのでこの報知があった時点では,僕はまだ三浦九段に疑いが掛けられているということも知りませんでした。挑戦者の変更というのは不審に思いましたが,たとえば三浦九段が大病を罹患したというようなケースも考えられますので,僕もすぐには何も書かず,推移を見守りました。
 挑戦者の交替は,将棋連盟の一存では決められないと思われ,主催者の意向にも配慮しなければならないと思われます。報知があった正確な日時は分かりませんが,その時点で将棋連盟と主催者である読売新聞社との間では合意ができていた筈です。ただ,読売新聞社の方から挑戦者の変更を依頼することは考えられませんので,将棋連盟から読売新聞社に何らかの理由と共に要請をして,それを読売新聞社で了承したということだったろうと僕は思っています。
 このことに関して,三浦九段の同意があったという主旨の説明ないしは報道があったように記憶していますが,それはあり得ないです。現実は,将棋連盟は疑いがあり,かつその疑いがあるということが報道されると判明していた三浦九段の挑戦を避けたかったために.三浦九段に休場を強要したけれども,当然ながら三浦九段が拒否したので,日程の都合で処分することを決断したということだったと思われます。その処分内容と理由は後の発表となりました。

 それが公平であるかどうかは関係ありませんので,これくらいにしておきましょう。
 この給付金が支給されるときに,それならば外出を控えて家にいようと思った人がいたと仮定します。この人は現金が支給されるという喜びlaetitiaによって,外出する,すなわち新型コロナウイルスを蔓延させてしまうような行為に対する欲望cupiditasを抑制していることになります。これは仮定そのものから明らかだといえるでしょう。つまり第四部定理七でいわれていることが,喜びという感情affectusによって生じていることになるのです。そしてそれは,喜びという感情が欲望という感情を抑制しているということになるのですが,この欲望は何らかの喜びから生じています。これも仮定から明らかなのであって,この場合は,外出することで何らかの喜びが生じるからそれを欲望しているからです。他面からいえば,この外出へと向かう欲望というのは,悲しみtristitiaを忌避するために生じている欲望ではありません。
                                   
 このように考えれば,このことは善悪が比較上の概念notioであるということからも説明できることになります。第四部定理八により,善bonumとは喜びの認識cognitioだからです。すなわち,外出して得ることができる喜びと,給付金が支給される喜びとを比較したときに,後者の喜びの方が大であると認識されると,前者はそれを妨げる善とみなされることになります。いい換えればそれは悪malumと認識されることになるのです。つまりこの場合は,より大なる善がより小なる善を抑制しているとみることができ,善が喜びの認識であるということを踏まえれば,大きな喜びが小さな喜びを抑制しているということができるのです。
 実際には,外出することと,支給される給付金を受け取るということは両立することが可能なのであって,一方を得るためにもう一方を断念しなければならないというものではありませんでした。ですからそれは,必要性という観点からいうなら,比較されなければならないようなふたつの善ではありません。しかし実際にはそのような比較をすることが人間にはあるのであって,実際に給付金が支給されるのであれば外出を控えてもよいと思った人がいたことを否定することはできません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする