スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

大山名人杯倉敷藤花戦&メンデルスゾーンの願望

2023-11-29 19:17:23 | 将棋
 18日に倉敷市芸文館で指された第31期倉敷藤花戦三番勝負第二局。
 里見香奈倉敷藤花の先手で後手の西山朋佳女流四冠が中飛車にしたのをみてからの向飛車で相振飛車。この将棋は中盤で鋭い攻めを繰り出した後手が有利のまま終盤戦に入りました。
                                        
 ここで☖6五桂と打ったのですが,☗3七飛と逃げられて大きく損をしました。どう指せばよかったかは難しいのですが,☗3七飛のときに☖1二香と逃げていますので,☖2二角と打つのがよかったかもしれません。先手の4四の角を排除することができれば,後手玉の脅威は減りますし,先手陣の守備も少し弱体化します。また☗2五銀とされたときにもやや受けやすくなっています。
 実戦は☖1二香に☗2五銀で先手が飛車先を通す形に。
                                        
 ここで☖4二銀打と受けましたが,これで後手は攻め駒が不足して逆転しました。なので真の敗着はこちらではなかったかと思います。ここでは☖8九角と打って攻め合いを目指すか,☖4二銀と逃げてもし☗3二飛成ならそこで☖3一銀打と受けるし,もしも☗2二角成のような手で来るなら,☖7六龍として将来的な上部脱出も含みに指せばまだ難しかったのではないでしょうか。
 連勝で里見倉敷藤花が防衛第16期,17期,18期,19期,20期,23期.24期,25期,26期,27期,28期,29期,30期に続く八連覇で14期目の倉敷藤花です。

 メンデルスゾーンMoses MendelssohnがヤコービFriedrich Heinrich Jaobiに対して,スピノザの哲学を擁護するような論陣を張ったのは,もしかしたらメンデルスゾーンの本意であったというわけではなく,ヤコービに誘導されてそのような立場を選択せざるを得なくなったからなのかもしれません。しかしたとえそうであったとしても,スピノザの哲学を擁護することで師であるレッシングGottfried Ephraim Lessingの立場を守っても構わないという余地が,メンデルスゾーンのうちにあったのは間違いないといえるでしょう。したがってメンデルスゾーンのうちには,ヤコービにあったと想定されるような願望と,一致するような願望はなかったと考えることができると思います。
 メンデルスゾーンのスピノザの哲学に対する理解は,ヤコービのそれに比べれば劣るものでした。よってメンデルスゾーンは,部分的にはスピノザの哲学を誤って解釈していたということを前提しておかなければなりません。そしてそのために,ヤコービと同じような願望を有するには至らなかったという可能性もあるでしょう。とはいえこうしたことはメンデルスゾーンのスピノザ哲学の理解の中心がどういうところにあって,それをメンデルスゾーンがどのように受容したのかということ,いい換えれば,メンデルスゾーンにはスピノザの哲学がどのようにみえていたのかということが解明されなければ分かりません。そしてそのためには,メンデルスゾーン自身の思想の中心がどこにあったのかということを明らかにする必要があるでしょう。よってこうしたことを明らかにするためにも,ヤコービと離れた,あるいは汎神論論争とは離れたところで,メンデルスゾーン自身の思想の解明というのが重要であるということになるのです。『スピノザーナ11号』の平尾および後藤の論文は,僕たちがそうしたことを理解するための一助になるでしょうし,さらなる研究の継続と発展が望まれるところです。
 メンデルスゾーンについては僕にはこれ以上のことは探求することができません。これは前もっていっておいた通りです。なのでこの項はここで終了としてもよいのですが,後藤の論文で,僕の関心を惹いたことが含まれていますので,その点を紹介しておきます。
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