曽我部絵日記

曽我部昌史の写真絵日記

10月26日~10月31日

2010-11-04 | インポート
10月31日(日)
「アーサー・エリクソン設計の博物館@UBC」
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現地の設計事務所で働く笠井さんのセッティングで、ブリティッシュコロンビア州立大学とスティーブストンへ。UBCはとにかく広い。大阪万博の時のサンヨー館を移築したアジアセンターなどをチラ見しながら博物館へ。アーサー・エリクソンの代表作。先住民族の民家の形式を抽象化しながら、博物館らしい落ち着きと博物館らしくない開放感を併せ持った空間を実現している。それにしても、大学内に博物館があったり、建築家の代表的な作品があったり、うらやましいっていうか、大学というカテゴリーが違ってるのか・・・。UBCの学生にしてみると、金儲けばっかして、っていうような印象も引き寄せてるらしいけど。


「住宅地@リッチモンド」
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今回の視察のキッカケは、世界で最も住みやすい街ランキングでバンクーバーがしばしば一位になっていて、かつ、国連の報告書では先進諸国のなかで最も問題の(規模の?)大きなスラムがバンクーバーにある、っていうのが分かったから。住みやすい、ということと、スラムができる、っていうことが共存することの仕組みに接近してみたい、というものだった。住みやすい=高級住宅地っていわけではないんだけれど、スティーブストンへ向かうバスからは、リッチモンドの高級な住宅街の風景が広がっていた。すごく高級な住宅地は湾の北側の南斜面にあるらしい。行かなかったけど。


「日本人がつくった街@スティーブストン」
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この街には、魚の缶詰をつくる製缶工場の労働者としてたくさんの日本人が集まっていた。もともとアザラシ漁のために来ていた人たちだったらしく、漁具の修繕とかにも活躍をしていたんだとか。古い建物を頑張って(無理やり?)保存することで、観光地として成り立たせている。町自体に日本らしさは殆ど感じられないけれど、水上ショップでは、ウニやイクラが売られていて、日本人相手な感じはある。奥にみえるのがフィッシュ&チップスの有名店。そこのポテトを食べているからか、鳥がでかい。
大型ショッピングセンターなどを見学してから、夕方ホテルにもどって、学生たち+丸山さんと明日の寿プレゼンの準備をしてから、またまた大榎さんの案内で居酒屋をはしご。まさに、日本の居酒屋。新宿風と六本木風だった。ハロウィンでの街の盛り上がりはピーク。


10月30日(土)
「注射器@日本語学校前(Downtown EastSide)」
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ダウンタウン・イーストサイドには、戦前までは日本人がたくさん住む日本人街があった。今でも日本語学校があって、朝一でそこのハロウィンパーティを訪れる。みんな、前日にダイソーで揃えたプチ仮装で。
前でタクシーを降りたら、足元の枯葉の中に注射器が。噂通りのシーン。当然ではあるけれど、子供たちが集まる建物の前でも区別はない。


「まち歩きツアー@カーネギーセンター(Downtown EastSide)」
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昨日、昼食を食べた地域の公民館・カーネギーセンター。バンクーバーの公民館は、地域の特性に合わせた運営が行われているらしい。ここでは、ちょうど地域イベントが始まったところで、われわれの興味にぴったりなまち歩きツアーがあるという情報を得て参加。ジェントリフィケーションがホームレスを生むっていう視点で、地域の簡易宿泊所とその背景の解説を聞きながらヘイスティングの通りを歩く。昨日見た綺麗過ぎるシェルターは、極端な例であることがよくわかる。バランスをとりつつ、現実がよく分かった。人口規模や低所得者の比率などは寿と近いけれど、背景や対応は根本的に異なる。ツアーグループの見た目はほぼデモ行進。まあ、意識はそういう感じか。


「図書館@ROBON ST. X HOMER ST.」
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資料となる本を探すために、図書館と本屋と美術館のブックショップに行くことに。三つとも近くにある。まず入ったのが、モシェ・サフディ設計の図書館。入ると、カフェやショップが並ぶ大きな吹抜。ショッピングセンターみたい。蔵書はものすごく多くて、また、かなりな多言語に対応している。これがカナダらしさか。さらに、小説のタイプ別パンフレットには、Gay FictionとかLesbianFictionなんてのもある。しかも、なんというか、あけっぴろげ。こういう区別のなさが、住みたい街世界一を獲得する由縁なのかも。


「JAPADOG@BURRARD ST. X SMITHE ST.あたり」
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ひと通り、リサーチ関連を終えて、晩ご飯を食べに移動中、重村先生から教えてもらっていたJAPADOGの屋台を発見。教えてもらっていた場所(広場)は、初日に行ったんだけれどなにやら広場全体が工事中で、屋台が置けそうな場所はなかった。せっかくなのでトライしたかったんだけれど、重い昼食(ハンバーガー)でお腹いっぱいで、しかもこれから晩ご飯という状況で前も後ろもおさえられ(?)、逡巡の後、断念。マレーシア料理店へ。首都大の山本さんはマレー語が専門だとか。いろいろつながる。


9月29日(金)
「暴動の図@Woodward's(Downtown EastSide)」
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市役所がダウンタウン・イーストサイドのツアーを企画してくれた。大榎さんの人脈と人格のおかげ。
9時にウッドワーズに集合。元老舗百貨店を高級集合住宅にリノベしたところ。1階のホールには、1970年にドラッグを規制する制度ができたときに、ここで起こった暴動を再現した写真が。で、ここには高級な集合住宅(すぐに完売)と商業だけでなくて、低所得者住宅やサイモン・フレーザー大学などが共存している。この後案内してもらった場所も、ちょっと贅沢な住宅とシェルターのコンプレックスとか、ホスピスと高齢者ケア付きアパートと女性向けシェルターのコンプレックスとか、いろいろな人たちを頑張って共存させる、というスタイルが多い。


「ボーナスで得られる容積」
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バンクーバーでは、行政と民間がネゴを重ねることで、あたらしい落しどころを開拓する、というのがよくあることらしい。例えば、シェルターを一定量受け入れることで高さ制限が緩和されるとか、建物の保存のために手を尽くすと容積を余計にもらえるとか。そうやって得られた容積は、市内の別の場所で使ってもいい。写真の建物は、元は2階までだった。保存を前提とした改修を行うことで容積のボーナスを得て、3階部分が増えたんだとか。


「定食@カーネギーセンター(Downtown EastSide)」
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すごく綺麗にリノベしたシェルターや、古い建物を活用した若手のアーティスト拠点などを案内してもらう。シェルターとは思えない豊かな空間と、住んでいる人たちのクリエイティブさに驚く(家やアトリエの中も見学させてもらったんだけれど、ブログでのアップは遠慮)。こういう豊かさを提供する側と享受する側のバランスの取り方が、日本での習慣とは根本的に異なるような気がする。表層的な競争意識を越えた、ある種の福祉への思想。
地域の公民館であるカーネギーセンター(元図書館)で昼食。2$で下手な学食より満足できる。


「炊き出し情報@カーネギーセンター(Downtown EastSide)」
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カーネギーセンターの図書室に張ってあった、炊き出し情報のメモ。主に教会関係か。対象となる人数は寿とそれほど変わらないけれど、提供される食事の多様さはかなり異なる。もともとの生い立ちというか背景が全く異なるので、数で比較すること自体にはあまり意味はないのだろうけれど、社会への向き合い方の意識の違いがかなり大きいように思う。
夜は、数年前に倉庫街をリノベして突然おしゃれな街に変貌したイェールタウンで、ビール。街はハロウィン一色。ホテルの隣のクラブのベース音が朝まで続く。


10月28日(木)
「ハーバー@バンクーバー」
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朝から昼休みもぶち抜きで授業をやって、そのまま成田へ。スラム対策&インナーハーバーリサーチでバンクーバー。積み残しの仕事が多くて成田で粘る。
バンクーバー到着は朝10時頃。なんだか、もう一回28日をやってるみたい。JAL組もカナダエア組も大体おなじころ。到着するなり街をあるく。アーサー・エリクソンの裁判所を登頂し、ギリシア料理を経てハーバーエリアへ。あらゆる乗物があってたのしい。水上飛行機は意外と需要があるようで、次々と発着。他に、ヘリコプターや水上ガソリンスタンドや大小の船。横浜にも、もっといろいろあっていいんじゃないか?。


「ガラス張り@バンクーバー」
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バンクーバーの高層マンションは、ほとんどガラス張り。住んでる人たちは窓じゃなくて壁と認識しているとか。日射に関する法律があって、それに対応しようとすると、ほとんんどガラス張りにしないといけなくなるんだとか。さらに、そうなると、みんな似た様な建物になってしまうので、外形ラインで差異化を図るらしい。どうしたもんだか。工事現場も多いので、こういうのがもっと増えるってことか。あと、構造が華奢。梁がない。スラブも薄い。バルコニーはスラブだけでキャンチ。太平洋沿岸だから、地震はあるような気もするけど。


「プノンペン@チャイナタウン(Downtown EastSide)」
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その後、いろいろと歩きまわって、夜、今回の主な訪問先であるCENTRE Aへ。ちょっと顔を出してから、カンボジア料理の有名店プノンペンへ。現地に詳しい人には、バンクーバーらしい料理っていうのはピンと来ないらしいんだけれど、いろんな国の料理があるのは特徴らしい。美味しかった。
ホテルに戻って、どのくらい歩いたのかGoogle Mapで計測してみたら10キロを超えていた。


10月27日(水)
「庭@自宅」
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某誌のために庭の図を書く。空いた時間に作業をするため、写真にとってみた。


10月26日(火)
「色ガラスの部屋@AGC(京橋)」
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新しくできたAGCのショールーム。いろいろな側面で太田浩史さんが関わっている。照明やサンプルラックなどは太田さんデザイン。今後、ガラス階段も追加されるらしい。写真は乾久美子さん設計の可動間仕切り。みかんぐみもここで何かをやるわけだけれど、頑張らなくちゃ。


「人形のサンプル@千葉大学」
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例によって、千葉大で学校の空き教室活用検討プロジェクトのミーティング。建築なデザインだけでは表現が難しいアイデアばかりなので、人形を用いたアニメで表現する。そのサンプル。たのしい。