第五節 二十二根及び諸門分別
分別根品第二より学びます。玄奘訳倶舎論によりますと、本頌は九品に分けられていますが、これからは、その第二の根品・五巻(『倶舎論』巻三より巻七に至る)七十四頌より学ぶことになります。内容は、二十二根の解説及びその諸門分別の説明です。
『倶舎論』の内容、組織については仏典講座 『倶舎論』 (桜部 建著 ・ 大蔵出版) に依ります。
第一部 原理論 第二章
(6) 二十二根の説明
(7) 法の倶生の定則
(8) 心所法の説明
(9) 心不相応行の説明
(10) 六因・五果・四縁の説明
(11) 十二心・二十心の相生の原則
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根は増上の義であることを述べています。樹木は根を張りますね、根は樹木を生長さす作用をもっています、それを根と名づくといわれているのです。
「伝説五於四 四根於二種 五八染浄中 各別為増上」(第一頌)
(伝説すらく、五は四に於いてし、四根は二種に於いてし、五と八とは染と浄との中に、各別に増上と為す。)
染は雑染の略。浄は清浄の略。「染と浄との中」とは、煩悩に雑染されている法と、そうではない清浄の法、ということになります。
この科段は二十二根について説明されているところですが、八は、信等五根と三無漏根とを合わせて八といわれています。二十二根とは、眼・耳・鼻・舌・身・意の六内根、女・男の二根、命根、憂・喜・苦・楽・捨の五受根、信・勤・念・定・慧の五作根、及び未知当知・已知・具知の三無漏根を指しますが、すべて根と呼ばれて、根の意義を見出そうとしています。そして、「増上」こそが根の意義であると述べているのです。
先ず始めに、「伝説」という言葉が置かれていますが、これは有部の説を挙げて不信を表す為に置かれているといわれています。
第一句の「伝説五於四」は、眼等の五根は四事に於いて(四つの点)で、増上を為す、と。一に身を荘厳する、二に身を導養する、三に識等を生ぜしめる、四に不共事を為す。
第二句の「四根」は、「男女二根及び命根意根の四」ですが、これが二事に於いて増上を為す、と。二の増上とは、一に有情異、二に分別異をいいます。有情異とは、此の二根において男女の類別が出来る。分別異とは、形相、言音、乳房などが全く異なる。命根の二は、同分をよく続け、よく保たたしめる。意根の二とは、よく後有を続け、及び諸法に対し自在に行ずる。
第三句の「染と浄との中」とは、楽等の五受根と信等の八根とは、染と浄との間に於いて各別に増上す、と説明されています。
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