蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

息もできない

2012年08月12日 | 映画の感想
息もできない

どこかの映画評で絶賛されていたので「見てみたい映画(DVD)リスト」の上の方にあったのだが、いきつけのツタ●でもけっこう人気があってのびのびになっていた。

父親から虐待されて育った主人公は、ヤクザの手先になって暴力的な借金取立てを稼業にしている。身内にも他人にもとにかく手をあげるのが早くて、すぐに平手打ちとケリが入る。主人公が心和ませるのは姉の子供と遊ぶ(といっても、ムッツリ子供の横に座ってタバコをふかしているだけだけど)時だけだったが、ある日道端で出会った女子高生(?)と妙に気が合い、付き合い(といっても、屋台で酒飲んだりするくらいで、甘やかなデートをするわけではないのだけど)始める。やがて、彼女の兄が主人公がいるヤクザ組織の新入り構成員になり・・・という話。

主人公も女子高生も育った家庭がすでに崩壊しており、家族間の関係性や愛情を得ることができず、そうかといって会社(ヤクザの事務所)や学校でも周囲に溶け込めない。やっと姉の子を媒介にして擬似的な家族関係を築きかけたところで、主人公に不意に破局が訪れる。そんな皮肉で残酷なめぐりあわせを、演技というより素のままなんじゃないかと思えるような主人公役の俳優(ヤン・イクチュン)が上手に表現していたと思う。


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