海戦からみた日露戦争(戸高一成 角川ONEテーマ21新書)
バルチック艦隊を撃滅できた要因は連合艦隊の「丁字戦法」にあったのか?というのが本書のテーマ。
直前に発生した黄海海戦で「丁字戦法」を取ったがために敵艦を逃しそうになったので、日本海海戦に臨む時点では、東郷司令部は「丁字戦法」を採用するつもりはなく、連繋(浮遊)機雷を敵戦列の直前に敷設するという奇襲作戦を考えていたそうである。
しかし、当日は波が高く、この奇襲作戦の実施が困難となってしまい、結局、流れのままに海戦に突入し、(敵の全滅を狙った)並航戦に持ち込むために、敵の射程内で180度近い回頭(いわゆる東郷ターン)するという極めてリスクが高い作戦をとることになった、
と、いうのが著者の考えである(結果論として、艦隊の相対位置が丁字に近いものになったので、「丁字戦法」が日本海海戦の勝因だった、という説になったと)。
もっとも、本書では、誰がこの危険で大胆な戦法を取ることを最終決定したのかは、はっきりしないとしているので、もしかしたら、東郷司令部はやっぱり「丁字戦法」をとろうとしたのかもしれない。
というか、純粋な軍事研究ならともかく、一般向けには「必殺の丁字戦法が炸裂!」とか「でたっ!起死回生の東郷ターン」とかにしておけばいいんじゃないかと思う。
「日本海海戦の勝因は、事前の作戦がすべて当て外れになってヤケクソでハイリスクの180度回頭がたまたまうまくいっただけ」では、(それが真実だとしても)しらけてしまう。
と、批判的なことを書いたけれど、本書は、題名とおり日露戦争の海戦をコンパクトにわかりやすく記述しており、大変読みやすく、また主張が明快な良書だと思う。
バルチック艦隊を撃滅できた要因は連合艦隊の「丁字戦法」にあったのか?というのが本書のテーマ。
直前に発生した黄海海戦で「丁字戦法」を取ったがために敵艦を逃しそうになったので、日本海海戦に臨む時点では、東郷司令部は「丁字戦法」を採用するつもりはなく、連繋(浮遊)機雷を敵戦列の直前に敷設するという奇襲作戦を考えていたそうである。
しかし、当日は波が高く、この奇襲作戦の実施が困難となってしまい、結局、流れのままに海戦に突入し、(敵の全滅を狙った)並航戦に持ち込むために、敵の射程内で180度近い回頭(いわゆる東郷ターン)するという極めてリスクが高い作戦をとることになった、
と、いうのが著者の考えである(結果論として、艦隊の相対位置が丁字に近いものになったので、「丁字戦法」が日本海海戦の勝因だった、という説になったと)。
もっとも、本書では、誰がこの危険で大胆な戦法を取ることを最終決定したのかは、はっきりしないとしているので、もしかしたら、東郷司令部はやっぱり「丁字戦法」をとろうとしたのかもしれない。
というか、純粋な軍事研究ならともかく、一般向けには「必殺の丁字戦法が炸裂!」とか「でたっ!起死回生の東郷ターン」とかにしておけばいいんじゃないかと思う。
「日本海海戦の勝因は、事前の作戦がすべて当て外れになってヤケクソでハイリスクの180度回頭がたまたまうまくいっただけ」では、(それが真実だとしても)しらけてしまう。
と、批判的なことを書いたけれど、本書は、題名とおり日露戦争の海戦をコンパクトにわかりやすく記述しており、大変読みやすく、また主張が明快な良書だと思う。