蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

我々は何処から来たのか(グレートジャーニー移動編)

2006年06月04日 | 本の感想
「我々は何処から来たのか(グレートジャーニー移動編)」 関野吉晴 毎日新聞社

副題の「グレートジャーニー」というのは、著者の関野さんが、南米大陸の南端から大陸を北上して北米大陸を縦断、アラスカからシベリアへ渡り、ユーラシア大陸を横切ってエジプトからタンザニアに至った旅行のことで、この本はその旅の記録です。

その記録がテレビ等で放映されていたこともうっすら知っていました(実際見たことはないのですが)。南米からアフリカまで継続的に旅行したものと思っていたのですが、実際は途中でしばしば日本に帰ったり、寄り道したりして、また中断点に戻っては再開するという形でした。

アフリカで発生した人類がはてしない道のりをたどって南米にたどりついた道筋をたどる、というのが旅の目的なのですが、先に述べたような制約、ルールを自ら定めていたとはいえ、ほぼ常時サポートの人が随伴しているし、そうは言っても各種文明の利器(GPSとか)を利用していて、原始の人類の旅とは似ても似つかぬものです。

著者が言うこの目的は、まあ、大義名分というか、言い訳というか、後付の理屈みたいなもので、この人は平穏無事な日本で波風たてずに暮らしていくという生活には耐えられないのでしょう。
妻子を日本において一年の大半を海外で放浪する。しかも生命の維持すら危ぶまれる方法で。周囲の人にとってみればとんでもない道楽者で、こんな人が身内にいたらとても迷惑だと思います。しかし、それでもやり抜いてしまったまさに「グレート」な道楽者の話は正直言ってとてもうらやましかったです。

時々、随伴者や周囲の環境に立腹しているのですが、表現は相当に遠慮がち。もうちょっと本音を表に出したら読み物としておもしろかったと思います。また別途写真集が出ているようなので、この本には写真は載せられなかったのかもしれませんが、この手の本で一枚もないというのはどうなんでしょうか。

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