穴にハマったアリスたち

生きてれば楽しい事がいっぱいある!の証明の為のページ。ぴちぴちピッチを大応援。第三期をぜひ!
→新章開始!ありがとう!

小説「グラスホッパー」(伊坂 幸太郎) 感想

2008年11月29日 | 小説・本
最近、「サンデー」連載中の漫画「魔王 JUVENILE REMIX」を推してるのですが、小説「魔王」以外にも原作があると教えてもらったので読んでみました。
果たしてネタバレをしていいものか、そもそも「魔王」を知ってる人がここをどれほど読んでるのか。
全く見当がつかないので、「小説も漫画も読んでる」という人にしか分からないような適当な感想を書いてみる。

■グラスホッパー ‐ 伊坂 幸太郎

バッタさん。もしゃもしゃ草を食べる。そんな話。

妻を殺され復讐を誓った鈴木さん、対面した相手を自殺に追い込む特殊能力者の鯨さん、ナイフ大好き殺人者の蝉さんが、「押し屋」と呼ばれる殺し屋さんを巡る話です。
いわゆるハードボイルド系。
ストーリー的にはそれなりにオチもあり、そこそこ楽しんで読めました。

ところで、普段あんまり日本人原作の小説を読むことがないので今ひとつピンと来ないのですが、「魔王」や「グラスホッパー」等の小説も「読書」の範疇に含まれるもんなんでしょうか。
私の感覚だと漫画やライトノベルと同じ括りのジャンルなのですが…。
貶す意図はないのですが、後書きの解説に直木賞候補だったと書いてあって、ちょっと意表を突かれました。
まぁ直木賞自体、そんなもんなのかもしれない。
正直、「漫画ばっかり読んでるとダメになる。活字を読め」と言われてこの手の小説を差し出されたら、かなり戸惑う。え?同じじゃ?

なんかネガティブっぽいこと書きましたが、小説自体は面白かったです。
小説単体でもですが、特にこれを下敷きにした漫画版の存在がとても良い。
この「グラスホッパー」と「魔王」から、あの漫画にアレンジした大須賀さんは偉い。

「自分は上司の操り人形なのでは」と神経病んでる蝉さんと、「考えろ」がモットーの安藤くんを組ませたのは素敵だし、復讐に燃える鈴木さんと安藤弟の置き換えも上手い。
使い方が上手いだけに、先に「グラスホッパー」を読んでればとんでもなく熱かったんだろうなぁ。
不用意に横断歩道の前にいるマスターとか、やべぇ。

これから先の展開も楽しみです。
大須賀さんはかなり丁寧に原作小説の展開を使ってくれてるので、まだ未出のアレやコレが出てくるのにも期待できそう。
そのくせ、「今の話の流れでは原作のあのシーンは無理」みたいなものもある。でも今までの傾向を見るに、絶対ねじ込んでくるはずだ。どうする気なんだろう。
原作に忠実な漫画の今後の展開を、原作読んだのに予想できないってのも凄い話だと思う。

小説で一番好きだったシーンは、岩西さんが蝉さんに最後のエールを送るところ。
これも今現在の漫画の展開だと起こりそうにないのですが、めちゃくちゃ盛り上がりそうです。
それに続く話も漫画的にどうする気なのか。色々楽しみな場面ばっかりだ。

別の小説の登場人物たちが絡み合ってるので、スパロボ的面白さも。
変態蜂娘VSマスターとか、変態蜂娘VS犬養さんとか、頭おかしいです。
よく思いついたなそんな構図。

他にも、薬で朦朧とする変態蜂娘とか。
確かに原作にもそんな一節はありますが、そこからああいう展開は普通発想できません。
ていうか原作小説ではほとんど描写もされてない変態蜂娘を、ああも変態に仕立て上げた大須賀さんは変態。今後の展開にも期待しています。



(左画像)
グラスホッパー (角川文庫)

(右画像)
魔王 (講談社文庫 い 111-2)


実は漫画版「魔王」の最初の方はろくに読んでませんでした。
ぶっちゃけ地味だし野郎ばっかりだったので。
ええ、真面目に読もうと思ったきっかけは、変態蜂娘です。もしかしたら私も変態なのかもしれないとちょっとだけ思った。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする